2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms translating the pulse information into developmental time
Publicly Offered Research
Project Area | Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation |
Project/Area Number |
17H05770
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀川 一樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (70420247)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 生物物理 / cAMP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、単純な発生様式をもつ社会性アメーバのcAMP振動を材料に、化学信号の発振回数を情報処理する原理を解明する。また、発振回数を画像定量化する技術を開発することで、リズムの回数に支配される生命現象を解析するための基盤整備を行う。 過去の研究から、パルス応答性の分化マーカーが20遺伝子ほど報告されている。しかしながらこれらの遺伝子が、パルスの回数に依存性して応答しているのか明らかではない。そこで、異なるパルス回数を積算検出していると予想される遺伝子として、CsaAに注目し、その転写調節機構解析を行った。特に、cAMP応答性に必須なDNA領域1kbを同定し、この内部にcAMP入力で活性化される転写調節因子GtaCの結合部位を16箇所決定した。これら16箇所のGtaC結合部位への変異導入により、cAMP入力の応答性に特に重要な部位を10箇所同定した。これらの配列に変異を導入すると、パルス回数の検出回数の検出能力(half maximal pulse No. )が、パルス回数20回から40回の間で変化したことから、GtaCを介した転写制御がパルス回数を積算処理するために機能している可能性が見出された。20-40回の異なるパルス回数を検出すると考えられる遺伝子の候補を複数同定し、その調節領域を比較解析したところ、CsaA遺伝子の調節領域に見出された同様の特徴が見出されたことから、GtaCの結合配列の結合/乖離比がパルス回数を積算処理するために必須であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞間信号伝達動態の自己組織化過程を定量的に解析するには、一万個の細胞集団を対象に、cAMP信号を一細胞粒度で計測できなければならない。極めて高感度、高シグナル変化を呈する新規cAMP指示薬として、赤色蛍光を呈するR-FLincA(Red FLuorescent indicator for cAMP)を開発しSciRep紙にて発表した(Ohta et al., 2018)。 また、cAMPパルスそのものの検出ではなく、その積算回数を演算すると考えられる遺伝子回路の同定も終えていることから、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
cAMP入力に応答し転写制御因子GtaCが結合する核酸領域を同定し、パルス回数の積算には、GtaCの結合/乖離のバランスが重要である可能性を見出している。そこで、リン酸化/非リン酸化型のGtaCを精製し、標的DNA配列との親和性をin vitroアッセイにて決定する。あわせてパルス回数を画像検出するための技術開発を進め、発振回数を画像定量化するための基盤整備を行う。
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Research Products
(6 results)