2017 Fiscal Year Annual Research Report
Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation
Publicly Offered Research
Project Area | Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation |
Project/Area Number |
17H05771
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
畠山 淳 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (90404350)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 霊長類 / 脳脊髄液 / 分泌因子 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、霊長類が大きな脳を獲得した機構の理解を念頭に、哺乳類間の「脳サイズの違い」を作り出す機構の解明を目的とする。脳脊髄液がヒトの脳の拡大化に貢献しているのかどうか検証する。まずマウス胚では発現しておらず、サル胚の脈絡叢(脳脊髄液を産生する器官)に発現する分泌因子を単離し、その候補因子がヒトES細胞由来のヒト神経幹細胞(hNSC)の増殖を促すことを明らかにした。さらに、カニクイザル胚の脳脊髄液中に含まれる候補因子が神経幹細胞の増殖に貢献するかどうか検討した。サル胚の脳脊髄液は、hNSCに対して著しい増殖促進効果を示したが、この活性は候補因子に対する機能阻害抗体によって一部阻害されたことから、脳脊髄液中の候補因子が神経幹細胞に対する増殖促進を支える因子の1つであることが明らかになった。次に、種間の脳サイズの違いと候補因子の因果関係を検討するため、マウスの神経幹細胞に対する候補因子の影響を調べた。その結果、候補因子はマウス神経幹細胞の増殖を著しく促進した。さらにin vivoの検討を行い、マウス胚の脳に候補因子を作用させると、有意に大脳皮質が拡大するという結果が得られた。候補因子は、正常のマウス胚では見られないことから、脳発生期の候補因子の有無が脳サイズの違いに影響している可能性が示唆された。このように、脳脊髄液中の因子の違いが脳サイズの違いの原因であることを明らかにしつつある。さらに、神経幹細胞の増殖に脳圧が関与する可能性を検討する第一歩として、胚操作が容易なニワトリ胚を用い、脳圧を下げる実験を行った。その結果、脳圧低下によって、脳が顕著に縮小した。この結果は、脳圧が脳サイズの制御に関わる可能性を示唆する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妊娠中の体調不良、産休と育児により研究に従事する時間が減ったため、若干の遅れがみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果はポジティブなものが多く今後の展開が見込めるため、周囲のサポートを受けながら、遅れを取り戻すよう努めている。
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