2017 Fiscal Year Annual Research Report
Spatio-temporal regulation of alternative splicing of an F-actin scaffold proteins during neuronal network formation
Publicly Offered Research
Project Area | Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation |
Project/Area Number |
17H05773
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
生沼 泉 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (40452297)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 神経軸索 / アクチン / 選択的スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、軸索ガイダンス因子の細胞内情報伝達機構を解明し、低分子量G蛋白質の1つR-Rasの活性が様々な外界因子の駆動で共通に制御され、R-Rasの軸索内での活性制御が軸索の動的形態制御において普遍的役割を果たしていることが明らかになっている。また、R-Rasの結合分子として、PI3-kinase (J. Cell Biol., 2006, J. Biol. Chem., 2007) やアクチン抗キャッピングタンパク質Ena/VASPのリガンドタンパク質であるLamellipodin (J. Neurosci., 2012)、そしてアクチン足場蛋白質であるafadinを同定しており (MBoC., 2012)、そのうち、afadinは、初代培養大脳皮質神経細胞において、そのC末端のF-actin結合ドメインを介し、軸索分枝形成を担う。 最近の誌上成果で、afadinの選択的スプライシングが、神経細胞発達過程で変化しており、さらに、短いバリアント (S体) が長いバリアント (L体) に対してドミナントネガティブ体として働くことで、L体の細胞膜での集積によるアクチン重合足場形成を阻害するという報告をした (MBoC., 2015)。本研究提案ではそれを踏まえ、「選択的スプライシングが脳構築の場で時空間的に制御され、afadinの各アイソフォームの発現が制御されることで、的確な神経分化・神経回路形成を引き起こされている」という新奇システムの存在を想定し、その機構の解明並びに可視化と操作を目的として研究を進めている。その結果、マウス大脳皮質2/3層神経細胞の発達過程で、S体の発現量が適切に制御されることが的確な脳神経回路の構築に必要であるということを明らかにした。マウス大脳皮質において、発達時期普遍的に発現しているL体に対し、内在性のS体タンパク質の発現量は胎生期には低く抑えられており、出生後に急峻に発現が増加する。そこで、胎生期からCAGプロモーター下でS体を過剰発現させることで、脳梁軸索の脱束化、対側皮質内での層特異的な分枝の抑制等が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究者として申請書に掲げていた大学院生の全員が就職活動で長期不在になってしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、S体の発現調節の破綻によって引き起こされる各異常の原因について、ガイダンス因子などの細胞外因子や、軸索間の細胞接着因子との関係性の観点から検証を進めるとともに、S体の発現のタイミング制御メカニズムの解析も行っている。
|