2017 Fiscal Year Annual Research Report
GABA細胞発生時計による遺伝子「量」制御と皮質層の連携と構築
Publicly Offered Research
Project Area | Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation |
Project/Area Number |
17H05775
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
三好 悟一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20519326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発生時計 / 皮質場との連携 / 遺伝子制御 / 抑制回路 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「発生時計」による転写因子FoxG1「量」のダイナミックな発現制御が、GABAニューロンの抑制回路形成に果たす役割を明らかにする。さらには、GABAニューロンと皮質「場」による連携機構に焦点をあてることで、興奮抑制細胞間のFoxG1因子「量」のバランスにより「自閉症様回路」が産み出されるその過程を解明することを目指す。その目的のために、これまで用いてきたマウス遺伝学的手法を発展させ、GABAニューロンの様々な発生発達段階でFoxG1因子「量」を自在に増加、減少、欠損する手法を開発した。 GABAニューロン発生におけるFoxG1の発現を解析したところ、「発生時計」に従い遺伝子「量」がオン、オフ、オンと増減変化することが明らかになった。胎生期の腹側で作られた未分化GABA細胞は皮質に到達後、皮質内の移動過程ではFoxG1因子「量」を減少させ、生後に各層に仕分けられる段階で再び「量」を増加させることを明らかにした。分子マーカーと細胞形態を組み合わせた解析を行い、FoxG1因子「量」スイッチの切り替えが起こる位相を正確に同定した。今後、FoxG1がオンの位相では遺伝子欠損実験を、オフの位相においては遺伝子増加実験を実施していく。発生時計によってFoxG1「量」が調整される機構が、大脳皮質回路形成に果たす役割についてGABAニューロンと皮質「場」による連携に焦点をあて明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の解析方法で「発生時計」による転写因子FoxG1「量」のダイナミック制御が、GABAニューロンと皮質「場」による連携を調節する機構を検証することは可能であると考えている。その一方、記録した個体数およびデータがまだ不足しているので、今後も解析を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
GABAニューロン発生がたどる複雑な分化、細胞遊走、領域侵入、層形成、回路形成の各段階で、内在する特殊な「発生時計」プログラムがダイナミックに調節するFoxG1因子「量」の作用機序を解明する。そのため、発生の各位相ごとに因子「量」を増加もしくは欠損させる実験を行う。FoxG1因子が、GABAニューロンが産み出される腹側領域において神経分化や皮質への移動に果たす機能、皮質内の接線方向への移動過程で因子「量」減少を行う作用、皮質の各層に配置される過程で再び因子「量」が増加する役割を解析する。「発生時計」に従ったFoxG1因子「量」の増減変化により制御されるGABAニューロン発生機構を統合的に理解する。
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Research Products
(2 results)