2017 Fiscal Year Annual Research Report
HLA型に基づく経皮感作小麦アレルギー関連ペプチドの同定
Publicly Offered Research
Project Area | Creation, function and structure of neo-self |
Project/Area Number |
17H05786
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40344882)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | HLA / 小麦 / 経皮感作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において加水分解小麦を含む石鹸の使用後、小麦製品を経口摂取することによりアレルギーを発症した事例が発生し、患者数も数千人に達したことから社会的問題となった。申請者らは加水分解小麦による経皮感作小麦アレルギーの症例452例およびコントロールを用いて全ゲノム関連解析を行い、6番染色体短腕に存在するHLA-class II領域の遺伝子多型と疾患発症との間にゲノムワイド水準を満たす強い関連を検出した。本研究はHLA領域の詳細な解析をおこない、HLA領域の疾患感受性/抵抗性に関するマップを作製すること、さらには疾患発症に関与しうる抗原ペプチド領域を同定することを目的としている。平成29年度のゲノム解析として、加水分解小麦による小麦アレルギー患者のHLA class II領域の PCR-SSOP実タイピングデータと全ゲノム関連解析で使用した一塩基置換多型データを用いたインピュテーションデータ(SNP2HLAを使用して解析)との比較を行い、HLA-DRB1,HLA-DQA1,HLA-DQB1,HLA-DPB1の実タイピングとの高い一致率(>0.95)が得られた。さらにHLA領域のconditional analysisではHLA領域内に複数の関連する領域が検出された。 抗原ペプチド解析については、上記のゲノム関連解析により得られた結果に基づいて、疾患感受性HLA class II遺伝子型に適合するペプチドのスクリーニングを、固相化HLAタンパク質の定量法ならびにフローサイトメトリー法による定量解析により行い、予備実験の確立を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム解析については解析の最終段階であり、HLA領域に新たな疾患感受性遺伝子候補を検出することができた。 抗原ペプチド解析についても、予備実験が終了し、いくつかの候補ペプチドを検出することができたので、本年度の予定についておおむね達成できたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ゲノム解析については解析を完了し、原著論文の発表を行う。ペプチド解析についてはTOF-MS解析により既に取得されている加水分解小麦に含まれる脱アミド化ペプチドの一覧からIn silico解析により、疾患感受性HLA-class II遺伝子型に適合するペプチドのスクリーニングを行う。検出された候補ペプチドについて平成29年度に確立された手法をもちいて結合実験を行い、疾患発症に関与しうる抗原ペプチド領域の同定を行う。
|