2017 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic data science for virus-eco-sphia
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-virology: the raison d'etre of viruses |
Project/Area Number |
17H05819
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩見 真吾 九州大学, 理学研究院, 准教授 (90518119)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 数理モデル / 定量的データ解析 / インフルエンザ |
Outline of Annual Research Achievements |
病原体の適応度地形は宿主の免疫応答により変化し、宿主の集団免疫は流行する病原体により変化する(ウイルスエコ・スフィアー)。次世代シークエンサーの登場とバイオインフォマティクス手法の発展により塩基配列解読のスループットは飛躍的に向上し、配列データの活用はウイルス学の幅広い分野において標準的となっている。しかし、ウイルスが生物の生命活動に及ぼす影響を定量的に理解するためには、さらなる異分野との融合を果たした生命現象に普遍的な進化動態を定量的に解析する数理科学基盤の開発が求められている。ここでは、集団遺伝学的な手法を用いて、インフルエンザの進化動態を分析できるシミュレータを開発した。まず、A/U/G/Cからなる1047塩基の配列を持つインフルエンザ親株をコンピュータ内で変異させ子孫プールを作る。そして、各子孫株の適応度を宿主集団の免疫状態及び親株との類似性などの要因を計算し、適応度に応じて翌年の流行株を選ぶ。この操作を繰り返し計算する事でインフルエンザ進化をシミュレートできる。ここで、塩基配列は認識領域と保存領域の2つの領域を持つと考え、変異の入る部分により適応度が変化すると仮定した。また、遺伝子配列には病原体と宿主の進化的攻防の歴史が刻まれている。そこで、宿主免疫にさらされるヘマグルチニンの遺伝子配列をdN/dS解析を実施して、進化のサインを検出した。今後は、、BEASTなどの既存のソフトウェアで集団遺伝学的解析および分子系統解析によって配列の進化速度や淘汰圧の定量化を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
配列進化シミュレータから生成したA/T/G/Cの4文字からなる疑似配列を利活用して、ウイルスと宿主の共進化を分析できる点は前例がなく独創的である。膨大な組み合わせの進化経路を全て実験解析から探索し、「進化ルール」を見つけ出すことは不可能であるが、計算機実験と進化理論による大規模な擬似配列データ解析を援用することで達成されるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
実データの背後に潜む法則性や基本原理を知るためには、実データを生み出すシステムの非線形ダイナミクスを知る必要がある。膨大な組み合わせの進化経路を全て実験解析から探索し、「進化ルール」を見つけ出すことは不可能であるが、計算機実験と進化理論による大規模な擬似配列データ解析を援用することで達成していく。
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Research Products
(12 results)