2017 Fiscal Year Annual Research Report
鍵と鍵穴に着目した有性生殖過程の核膜融合の分子機構と初期発生における意義の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Determining the principles of the birth of new plant species: molecular elucidation of the lock-and-key systems in sexual reproduction |
Project/Area Number |
17H05837
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核膜融合 / 核膜タンパク質 / タンパク質構造解析 / ライブイメージング解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
被子植物の有性生殖で観察される核融合過程では、核膜同士が融合することが必須である。本研究は、有性生殖過程の核膜融合で中心的な役割をはたす膜タンパク質であるGex1に着目した解析によって、シロイヌナズナ有性生殖過程の核膜融合の分子機構と、その初期発生における意義を明らかにすることを目的とする。 本研究ではまず、雌性配偶体におけるGex1の細胞内局在の解析を行い、GFP-Gex1が核膜上でパッチ状に存在することを明らかにした。葉肉プロトプラストの一過的発現を用いた解析でも同様の細胞内局在が示された。また、Gex1の内腔側領域のシステインリッチドメイン(CRD)の構造解析を行った。大腸菌を用いてCRDを発現、精製後に結晶化を行った。次にS-SAD法を用いた構造解析を領域内の共同研究ですすめ、CRD二量体の構造を明らかにした。また、Gex1が極核融合に加えて受精時の精核融合にも関与していることを明らかにした。 本年度はまた、Gex1とともに核膜融合で機能する因子の解明を目指し、核膜タンパク質であるSunタンパク質の極核融合への関与を検討した。発達中の雌性配偶体内でSun2の優性欠損変異体を発現誘導すると極核融合欠損が引き起こされることから、極核融合へのSunタンパク質の関与が示唆された。また、Gex1の機能解析のため、CRDやコイルドコイルドメインに関するさまざまな変異体を構築するとともに、イネおよびBrassica rapaのGEX1遺伝子cDNAクローンを取得し、gex1欠損株にこれらを発現するコンストラクトの導入を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gex1-CRDの構造を明らかにできたことは、大きな進展であると考えられる。また、Gex1の機能解析のためのさまざまな変異体やGex1ホモログを発現する形質転換植物の構築も予定通り進んでおり、当初の目的を平成30年度内に達成できると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
解析に必要な形質転換植物の構築も予定通り進んでいる。平成30年度はライブイメージング解析を中心に当初の計画に従ってGex1の機能解析を進めていく予定である。
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