2017 Fiscal Year Annual Research Report
2つの鍵穴をもつ転写因子が父鍵と母鍵と結合することで胚の体軸が形成される
Publicly Offered Research
Project Area | Determining the principles of the birth of new plant species: molecular elucidation of the lock-and-key systems in sexual reproduction |
Project/Area Number |
17H05838
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 美那子 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 特任講師 (20598726)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 転写因子 / 父母性因子 / 植物胚 |
Outline of Annual Research Achievements |
被子植物であるシロイヌナズナにおいて、父母因子の制御下で胚発生を担うしくみを理解するべく、父母の両方から受精卵に持ち込まれて体軸形成を制御するWRKY2転写因子と父親(精細胞)からのみ持ち込まれる偽キナーゼであるSSP、母親(卵細胞)のみに由来するHDG11/12転写因子の三者に着目して研究をおこなった。それぞれの相互作用を詳細に判定するとともに、各因子の変異体や機能改変株を用いて精査した結果、これらが協調的に働くことで、WOX8遺伝子の転写が活性化され、受精卵の極性や胚の体軸が確立されることが明らかになった。具体的には、SSPによって受精卵で活性化されるMAPキナーゼ経路によってWRKY2がリン酸化されること、および、リン酸化によって活性化されたWRKY2と、HDG11/12がともにWOX8遺伝子のプロモーターに直接結合してWOX8の転写を促進すること、さらに、生み出されたWOX8タンパク質が受精卵の極性化と胚のパターン形成を担うことを見出した。この成果をまとめ、国内外の学会で公表するとともに、国際誌に発表した(Ueda et. al., 2017)。また、受精卵が極性化する動態や、胚の体軸形成の詳細を理解するべく、受精卵内部や胚発生様式をライブイメージングする系を立ち上げ、新規の方法論として論文発表に至った(Kurihara and Kimata et. al., 2017)。さらに、これらの因子や解析系を活用して体軸形成過程を明らかにする方策についても国際誌で紹介した(Ueda and Berger, 2018)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサー解析に使用する植物に害虫が大量発生したことで繰越を余儀なくされたが、植物胚の抽出法をさらに効率化したことで遅れを取り戻し、信頼性の高いRNA-seqデータが得られた。また、受精卵の極性化や胚のパターン形成のライブイメージングについても、顕微鏡システムなどを最適化したことで、ハイスループットなイメージングが可能となり、解析の精度が飛躍的に上昇した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析結果によって、父母因子の協働の下流で制御される発生イベントが特定されつつあるので、そのメカニズムをさらに精査する。今後は、さまざまなマーカー株や、父母因子との関係がいまだ知られていない発生制御因子も解析することで、父母因子の協働が植物の体軸獲得とパターン形成を担うしくみをより詳細に解明していく。
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[Presentation] Live-cell imaging of the axis formation in Arabidopsis zygote.2017
Author(s)
Ueda, M., Kimata, Y., Higaki, T., Kawashima, T., Kurihara, D., Sato, Y., Yamada, T., Hasezawa, S., Berger, F., Higashiyama, T.
Organizer
28th International Conference on Arabidopsis Research (ICAR2017)
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Live-cell imaging of the plant axis formation responding to fertilization signals.2017
Author(s)
Kimata, Y., Higaki, T., Kawashima, T., Kurihara, D., Sato, Y., Yamada, T., Hasezawa, S., Berger, F., Higashiyama, T., Ueda, M.
Organizer
International Symposium on Imaging Frontier 2017 (ISIF2017)
Invited
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