2017 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌べん毛モーターの回転コントロールによるスイッチング機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Novel measurement techniques for visualizing 'live' protein molecules at work |
Project/Area Number |
17H05880
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 京都大学, 化学研究所, 研究員 (10346075)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高圧力顕微鏡 / 細菌走化性応答 / 水和 / 分子モーター / ナノバイオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、細菌がどのようにしてべん毛モーターの回転方向を巧妙に制御しているのかそのメカニズムを明らかにすることを目的としている。研究代表者はこれまで開発してきた細菌および、その運動マシナリ-であるべん毛モーターの計測技術を用いて研究遂行に努めた。平成29年度は下記の研究を実施した。1)従来からべん毛モーターの回転機構の研究が精力的に行われている大腸菌を対象にして、走化性応答制御因子とモーターとの結合解離による回転制御機構を調べた。生きた細胞内で働く分子間相互作用を調節できる高圧力顕微鏡を用いて、モーターの回転方向を可逆的コントロールすることに成功した。走化性応答制御因子による制御機構が働か回転の方向性と回転速度には相関が見られており、モーターの回転制御ならびにトルク発生機構に迫る重要な知見が得られた。2)地磁気に沿って運動する磁性細菌を用いてモーターの回転制御を調べる研究を実施した。磁性細菌MO-1は2つのべん毛の束を用いて、らせん状の軌跡を描きながら遊泳運動を行っている。重要なのは、らせん軌道の回転方向は変えながらも、全体としての運動方向は一定に保つという特徴を備えている点である。この特異な運動様式を実現できる機構を調べたところ、べん毛の束の形状と回転方向を巧妙に調節させていることが判明した。この知見は、磁性細菌の細胞内には、2つの離れた場所にある運動マシナリーを制御できる高度な情報伝達機構を備えていること示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験データはおおむね揃ってきたので。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度に実施した研究を論文にまとめるのがH30年度の大きな課題である。
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Research Products
(8 results)