2017 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質における触覚―痛覚相互作用の解明と痛覚制御
Publicly Offered Research
Project Area | Understanding brain plasticity on body representations to promote their adaptive functions |
Project/Area Number |
17H05912
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
尾崎 弘展 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30747697)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 痛覚 / 触覚 / 一次体性感覚野 / 一次運動野 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 痛覚の体部位マップの解明:マウス髭パッドの痛覚情報がS1バレル野に隣接するdysgranualr領域で処理されていることを見出した。さらに他の体部位においてもdysgranular領域が関与しているのかを調べるため、痛覚刺激を後肢に与え、活性化される部位を免疫組織化学染色により可視化した。その結果、後肢のgranular領域周囲のdysgranular領域4層において活性化した細胞集団が観察された。これは、痛覚の体部位マップがdysgranular領域4層において表現されていることを示唆している。 2. ガルバノを用いた光刺激システムの構築:痛覚の体部位マップが 大脳皮質一次体性感覚野の dysgranular領域に表現されているのであれば、刺激部位に応じた痛覚受容の変化が観察されることが予測される。本年度は光遺伝学的を用いて、dysgranular領域を刺激する際に、素早く刺激部位を変化させるためにガルバノミラーによって光路を変化させるシステムの導入を進めた。 3. 脳梗塞が引き起こす感覚変容と層別回復過程の違い:大脳皮質を局所的に障害し痛覚受容の制御を試みることは従来からされてきたが、必ずしも期待通りの成果がもたらされてはいない。そこで、大脳皮質運動野に光梗塞法によって局所脳梗塞を作成し、感覚野において感覚情報処理がどのような影響を受けるのか検証した。その結果、運動野脳梗塞によって急性期(梗塞後3日目)には感覚刺激に対する活動性が上昇し、慢性期(梗塞後14日目)には運動野と結合関係の強い5層を除いて活動性が元に戻ることを確認した。さらに、感覚野への入力をcurrent source density解析法によって調べたところ、急性期には運動野からの投射を反映する成分が観察されなくなることが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
痛覚の体部位マップの解明が順調に進展しており、触覚―痛覚相互作用の解明に欠かせないと考えているガルバノを用いた光刺激システムの構築も進んでいる。さらに光脳梗塞作成法を導入することが出来、当初期待していたものに追加された成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
大脳皮質レベルでの触覚と痛覚の相互作用を解明するため、in vivo電気生理学的手法と光遺伝学を組み合せた実験を行い、具体的な触覚と痛覚の情報処理が相互に影響を与えているのか検証を進める。さらに痛覚情報が触覚情報(触覚経路の刺激)により抑えられるのかを行動実験レベルで調べていく。
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