2017 Fiscal Year Annual Research Report
サル内包梗塞モデルを用いた身体表現適応機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Understanding brain plasticity on body representations to promote their adaptive functions |
Project/Area Number |
17H05917
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
肥後 範行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80357839)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | リハビリテーション / 機能回復 / 霊長類モデル / 脳活動計測 / 巧緻動作 / 神経可塑性 / 運動皮質 / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭部を固定しない随意運動下のサルの脳活動を計測するためのfNIRSシステムを連携研究者である山田亨(産業技術総合研究所)とともに構築した。頭部の動きに伴うノイズを最小化するため、プローブの強固な頭部への固定を行うとともに、fNIRS計測時の近赤外光の時間及び空間的伝播をシミュレーションによって求め、サルの脳活動を計測するために最適なプローブ間隔を決定した。本システムを用いて到達把握課題を行っているマカクサルの脳活動を計測した結果、使用した上肢と対側の第一次運動野の手領域においてoxygenated hemoglobin (Hb) の上昇とdeoxygenated Hbの低下がみられた。上肢拘束下で餌を食べさせた場合には両側第一次運動野の口領域に特異的な活動が見られた。本システムにおいて、随意運動下のマカクサルの脳活動を安定して計測できることが確認できた。本システムを用いて、内包梗塞後に上肢運動の回復過程で生じる脳活動の変化を調べた。第一次運動野の手領域からの下行路が通る内包後脚にEndothelin-1を投与し、局所的な微小梗塞を作成した。梗塞作成直後は上肢運動に麻痺が生じるものの、上肢運動訓練を行うと梗塞約1ヶ月経過後に把握動作の回復が見られた。梗塞前と梗塞後の回復時における、到達把握課題を行っているマカクサルの脳活動を計測した結果、回復時には使用した上肢と対側半球の運動前野腹側部の脳活動が上昇することが明らかになった。運動前野腹側部の脳活動と上肢運動の回復との因果関係を検証するために、回復時にGABAのアゴニストであるムシモールを運動前野腹側部に注入しこの領域の活動を一過性に抑制した。その結果、運動前野腹側部の抑制にともない巧緻動作の障害が再発したことから、この領域の活動が巧緻動作の回復に重要な役割を果たしていると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連携研究者と協力し、自由行動下のサルの脳活動を計測するシステムを確立するとともに脳梗塞後の脳活動を明らかにしたことは大きな成果であり、当初の計画に沿って進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
連発経頭蓋磁気刺激が脳活動および機能回復にもたらす効果を明らかにするなど、脳損傷後の回復を促進する介入技術に焦点を当てて、研究を進める。
|
Research Products
(3 results)