2017 Fiscal Year Annual Research Report
生活行動習慣と糖化・酸化ストレスの相互作用が主体価値の形成と改編に与える影響
Publicly Offered Research
Project Area | Science of personalized value development through adolescence: integration of brain, real-world, and life-course approaches |
Project/Area Number |
17H05930
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
新井 誠 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, プロジェクトリーダー (80356253)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖化ストレス / 主体価値 / 生活行動基盤 / 栄養疫学 / ライフステージ / 脳可塑性 / メンタルヘルス / 終末糖化産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「糖化・酸化ストレス」「生活行動習慣」「脳可塑性」の3つの軸から、思春期ステージにおける生活行動習慣と多様な糖化・酸化ストレス指標の動態変化に焦点を絞り、栄養学的調査を含め、「主体的価値形成と改編の駆動因」を探求することを目的とした。特に、①思春期の「精神状態と糖化・酸化プロファイルとの関連」を理解すること、②思春期の「食・生活行動の多様性(生活行動習慣)と糖化・酸化プロファイルとの関連」を理解すること、③思春期の「主体的価値形成・改編の駆動因と糖化・酸化プロファイルとの関連」を理解し、相互の因果を探求することをめざした。 初年度においては、東京ティーンコホートサンプルにおける「精神状態と糖化・酸化プロファイルとの因果」を探るため、皮膚において糖化ストレスを測定する非侵襲的機器(AGEsセンサ)を導入、活用した。第一に、一般成人集団を対象とした検討を実施した結果、皮膚AGEsセンサ値は、多くの被験者で低値を示すものの高値を示す被験者が存在することが明らかとなった。第二に、研究協力を得た思春期被験者でのAGEsセンサ値についても測定を実施した結果、一般成人集団と比較して有意に低値を示すものの、高値を示す被験者も存在した。また、AGEsセンサ値とGHQ28, CAPEでの臨床指標との相関解析を検討した結果、不安や抑うつといった幾つかの精神状態とも相関を認め、AGEsセンサ値の症状マーカーとしての活用が示唆された。現在、被験者数を拡大して縦断的な糖化・酸化ストレス変動、及び、CBCLを用いた精神症状の評価やBDHQを使用した栄養学的調査等を継続しており、今後、思春期における精神状態、生活行動習慣との因果関係を明らかにする計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該新学術領域計画班とも連携強化し、東京ティーンコホートサンプルを活用して、糖化ストレスマーカーの測定に着手した。また、思春期児童の食生活や睡眠といった生活行動習慣データの集積を開始した。これまでに、被験者350名以上の糖化ストレスレベルについて非侵襲的測定装置を用いて分析した結果、皮膚糖化ストレス値が一般成人集団と比較して低値を示す場合や高値を示す場合が存在すること、幾つかの精神状態とも相関することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度内の課題事項である①思春期の「精神状態と糖化・酸化プロファイルとの関連・因果」を理解することに加え、次年度以降、思春期の「食・生活行動の多様性(生活行動習慣)と糖化・酸化プロファイルとの関連・因果」を検証する縦断的な調査を実施する。また、思春期の「主体的価値形成・改編の駆動因と糖化・酸化プロファイルとの関連・因果」について計画班と連携を強化の上、検証を行う予定である。 初年度において、思春期被験者の社会適応や精神的健康状態、食生活行動を包括的に把握するための質問票による調査の集積を実施しており糖化ストレスレベルと相関する所見も得られつつある。次年度以降においても、思春期における精神と健康の成長の支えや食行動・生活環境の質を検証するとともに、思春期の主体的価値尺度との関連を検証することで、主体価値の形成と改編の駆動因と成り得る因子についても探求する。また、当該領域の計画班で集積された種々のデータ指標とも相互に関連を分析する計画である。
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