2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of VMAT1 variants and experiences on emotional differences
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
17H05934
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | VMAT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患に関連する遺伝子のうち、15種の哺乳類でアライメント可能な588の遺伝子を用いて、ヒト系統で正の選択を受けた遺伝子(自然選択により有利にアミノ酸が置換したと推定される遺伝子)として VMAT1(小胞モノアミントランスポーター1)を検出した。この遺伝子の2箇所のアミノ酸置換がヒトで正の選択を受けていると検出されたが、そのうち、136 番目のアミノ酸座位では、Thr型が祖先的で、最近になってIle 型が出現し、現在のヒト集団では両者が多型として存在している。VMAT1遺伝子のThr型(136Thr)は、Ile型(136Ile)に比べ、シナプス小胞へのセロトニンの取り込み活性が低く、うつや不安症、神経質傾向などと関連することが知られている。この座位は、ヒト以外の哺乳類ではAsn型であり、人類進化の初期段階においてAsn型からThr型に自然選択を受け進化したと考えられる。現代人では、アフリカ以外の集団でIle型の頻度が高く、コアレセントシミュレーションの結果から、現生人類の出アフリカと前後してIle型が出現したと推測された。また、Ile型は比較的高い頻度(20-30%)で非アフリカ集団中に存在しており、特にヨーロッパ集団において、Ile型とThr型の2つの対立遺伝子が平衡選択(多型を積極的に維持するように働く自然選択)により維持されていることが示された。また、ヒトとチンパンジーの共通祖先のVMAT1遺伝子型(Asn型)が、Thr型よりも神経伝達物質の取り込み能力が高いかどうかを、分子・細胞実験により調べる実験に取りかかった。また、東北メガバンクのデータをつかった解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VMAT1の遺伝的変異の集団遺伝的解析に加え、および東北メガバンクのゲノムデータによる解析を予定どおり、進めることができた。分子実験によるモノアミンの取り込み量測定に関しては、実験方法を見直したため予定が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
分子実験によるモノアミンの取り込み量測定を完成させる。および東北メガバンクのゲノムデータとアンケートデータからの精神的状態、また、婚姻の有無や子どもの数などを用いた適応度とVMAT1の遺伝子型との関係の解析を進める。
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