2017 Fiscal Year Annual Research Report
Individual differences and the neural bases of language functions
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
17H05936
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 匡子 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20271934)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語 / 皮質マッピング / 個体差 |
Outline of Annual Research Achievements |
「個性」を生み出す機構を解明するためには、高次脳機能を支えている神経基盤の個人差を知る必要がある。脳損傷は神経ネットワークの個体差を知る大きな手がかりとなる。すなわち、脳の同一部位の損傷で出現する症状は患者により異なり、これは成長の過程で形成された神経ネットワークの個体差に由来する。さらに、皮質電気刺激を用いた高次脳機能のマッピングは、一時的に限局した皮質機能を低下させることにより、直接その部位の機能を検討できる。本研究ではこれらの手法を用い、損傷脳からみた「個性」の神経基盤の解明を目指して研究を進めている。対象は、外科治療を前提に皮質電気刺激によるマッピングを行った患者および神経変性疾患である原発性進行性失語症の患者である。 まず、覚醒下手術を行った脳腫瘍患者では、皮質電気刺激による言語機能のマッピングデータを用いて、各個人における言語野についての解析を進めた。その結果、言語野は個人ごとにばらつきが大きいことが確認された。また、構音に関する領域が中心前回中下部で確認された患者において、その部位の切除により術後に失構音が出現した。 原発性進行性失語症では、神経心理学的手法による詳細な高次脳機能障害の評価、MRIによる脳形態の変化、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)による脳血流低下部位の測定を進めている。非流暢性・失文法型、意味型、ロゴペニック型の分類とともに、個々人における言語機能の変化と画像所見の対応をはかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が研究期間中に異動したが、新たな研究施設である東北大学は以前から共同研究を行っており、研究の継続性を確保しながら研究体制を構築することができた。 原発性進行性失語症についての検討は、神経心理学的データ、神経画像データに関して予定通り症例の精査が進んでいる状況である。 一方、脳腫瘍における覚醒下手術の新規の適用例は限定的であり、前向き研究だけでは十分な解析が難しい状況である。そこで、これまで集積してきた覚醒下手術例のデータも含めて解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
原発性進行性失語症については、今後、関連施設も含め、対象者の選定を進め、個々人の差異を検出できるよう対象例の確保に努める。 覚醒下手術による脳腫瘍の新規例は限定的であることから、皮質電気刺激による高次脳機能マッピングを行うてんかん症例も今後対象に含める。てんかん症例は電極留置を行うため、皮質脳波を活用した高次脳機能マッピングの方法についても検討を進める。以上を統合することにより、高次脳機能障害の個体差とその神経基盤の違いについて研究を推進していく。
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