2017 Fiscal Year Annual Research Report
「個性」創発メカニズム解明のための樹状突起スパインイメージング法の開発と応用
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
17H05941
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 雅行 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (00777865)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 「個性」創発 / 樹状突起スパイン / 活動イメージング / 生後発達脳 / 養育行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
前頭前皮質は、思考や認知などを司る脳の最高中枢であり、「個性」と最も関連ある脳領域である。したがって、前頭前皮質の細胞体および樹状突起スパインの形態や活動を明らかにすることは、「個性」創発のメカニズム解明につながると言える。本研究計画では、個性」創発のメカニズム解明のための技術として、生きた動物からニューロンの神経活動や形態を可視化するための手法の確立をおこなった。 平成29年度は、生後発達脳におけるニューロンの細胞体および樹状突起スパインの形態や活動イメージングをおこなう方法を確立した。具体的には、神経活動を可視化可能なカルシウムセンサーおよび膜電位センサーを子宮内電気穿孔法によってマウス大脳皮質に遺伝子導入し、2光子励起顕微を用いた生体(in vivo)イメージングによって、生後発達期におけるニューロンの活動および形態を可視化することに成功した。さらには、Flp組み換え酵素依存的に高感度・高速カルシウムセンサーを発現し、生後発達期における生体活動イメージングに利用可能な新規遺伝子改変マウスの創出にも成功している。 これら確立した活動イメージング法を応用して、不適切な養育行動が発達期における前頭前皮質のニューロン活動や形態に及ぼす影響への評価についても着手している。今後は母子分離することで母親マウスの仔に接する時間の制限をおこない、養育行動の制限が生後発達期の細胞体および樹状突起スパインの形態や活動、樹状突起の電位情報統合に及ぼす影響について明らかにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の目標であった生後発達期におけるニューロンの細胞体および樹状突起スパインの形態とその活動を可視化する方法を確立することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
確立したイメージング技術を用いて、不適切な養育行動が発達期における前頭前皮質にどのような影響を及ぼすかを明らかにする。母子分離することで母親マウスの仔に接する時間の制限をおこない、養育行動の制限が生後発達期の細胞体および樹状突起スパインの形態や活動、樹状突起の電位情報統合に及ぼす影響について明らかにする。
|