2017 Fiscal Year Annual Research Report
ADHD児行動特性の個性表出を目指したfNIRS脳機能検査の早期適用化
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
17H05959
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
檀 一平太 中央大学, 理工学部, 教授 (20399380)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 近赤外分光分析法 / fNIRS / 注意欠如多動症 / ADHD / 発達障碍 |
Outline of Annual Research Achievements |
注意欠如多動症(ADHD)は、不注意、多動・衝動性を中核症状とする発達障害とされているが、その行動特性の中には、疾患の症状ではなく、個性として表出すべきものもある。ADHD児の「症状」が「個性」として発揮されるためには、早期診断と早期治療が必須である。我々は、6歳以上の児童について、fNIRS脳機能画像検査を用い、右前頭前野の脳活動をバイオマーカーとして、①ADHD児と定型発達児を判別、②投薬による治療効果を判断することに成功した。そこで本研究では、これらの成果を発展させ、未就学児のfNIRS脳機能画像検査によるADHDの病態把握を実現する。そのために検査課題にゲーミフィケーションの要素を導入し、低年齢からでも安定的に脳機能検査を行なえる検査課題を作成し、その実効性を現行課題との比較によって、定量的に明らかにすることを目的とした。 当初、未就学児でも実行可能にするために、当初はゲーミフィケーションの要素を導入し、低年齢での対応をする予定であった。特に、低年齢の児童でも理解しやすいエピソディックな内容を課題に導入する計画であった。 一方で、現行課題の検討を詳細に行なったところ、課題の遂行時間を短くすることによって、より効率的に脳機能を評価できる可能性が見いだされた。また、長い課題に対する「飽き」を軽減することによって、低年齢での実施の可能性も高まった。そこで、現行課題に対してシミュレーションを行なったところ、定型発達児においては、現行の6回繰り返しを、低減しても検出力の低下はないということがわかった。さらに、現状での検査離脱率を加味し、検査自体の成立可能性を加味した検討を実施した。その結果、実際の低減は現実的であることが判明した。 これらの結果を踏まえ、ADHD児の薬物治療効果の検討にも、試行回数の軽減が適切であるか否かを実証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、新たな実験課題の開発を行なうことによって、検査の低年齢化を試みていたが、既存課題の見直しによって、その目的は実現可能であることが分かりつつある。このため、昨年度は、目標の実現を優先させて、課題短縮の効果を検討した。また、当初予定されていなかった、ADHDのサブタイプによる脳活動の変化が明らかになった。ADHDのサブタイプは個性の表出型でもある。そこで、個性を反映する脳活動の探索も行ない、個性の脳内表象と行動特性の関係性可視化するという着想を新たに得た。これらの進展を踏まえると、全体的には概ね順調な進行状況と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、「右前頭前野の脳活動をバイオマーカーとしたfNIRSによるADHD診断法の開発」というシーズ研究を発展させて展開する。ADHDの中核症状である抑制機能を計測するために、これまではGo/Nogo課題を用いていたが、これらは6歳以上の就学児におけるfNIRS脳機能画像解析用に最適化されたものであった。一方で、6歳未満の未就学児での実行には最適化されていなかった。 そこで、未就学児でも実行可能にするために、当初はゲーミフィケーションの要素を導入し、低年齢での対応をする予定であった。特に、低年齢の児童でも理解しやすいエピソディックな内容を課題に導入する計画であった。 一方で、現行課題の検討を詳細に行なったところ、課題の遂行時間を短くすることによって、より効率的に脳機能を評価できる可能性が見いだされた。また、長い課題に対する「飽き」を軽減することによって、低年齢での実施の可能性も高まった。そこで、現行課題に対してシミュレーションを行なったところ、定型発達児では現行の6回繰り返しを、大幅に低減しても検出力の低下はないということがわかった。 本年度は、この成果を発展させ、ADHD児の薬物治療効果の検討にも、試行回数の軽減が適切であるか否かを実証する。 また、ADHD児の病態や、年齢、知能によって、脳活動のパターンが異なる可能性も探索的に検討していく。さらに、ADHD児ついては、病態と投薬効果の関係性も解析していく。これらの研究によって、個性の一翼を担う個人特性と脳内表象の可視化を試みる。
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[Journal Article] Methylphenidate-elicited distinct neuropharmacological activation patterns between medication-naive attention deficit hyperactivity disorder children with and without comorbid autism spectrum disorder: a functional near-infrared spectroscopy study.2018
Author(s)
Tokuda T, Ikeda T, Monden Y, Mizushima S G, Inoue T, Nagashima S, Shimanmura K, Arakawa A, Kobayashi M, Kuroiwa C, Ujiie Y, Dan H, Kyutoku Y, Taniguchi T, Shimoizumi H, Yamagata T, Yamaguchi M K, Kanawaza S, Sakuta R, Dan I.
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Journal Title
Neuropsychiatry
Volume: 印刷中
Pages: in press
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Hypoactivation of the right prefrontal cortex underlying motor related inhibitory deficits in children with autism spectrum disorders: an fNIRS study2018
Author(s)
Ikeda T, Tokuda T, Monden Y, Hirai M, Nagashima M, Mizushima G S, Dan H, Kyutoku Y, Taniguchi T, Shimoizumi H, Dan I, Yamagata T
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Journal Title
Japanese Psychological Research
Volume: 印刷中
Pages: in press
Peer Reviewed / Open Access
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