2017 Fiscal Year Annual Research Report
超混雑環境における群集ナビゲーションに関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Systems Science of Bio-navigation |
Project/Area Number |
17H05987
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大西 正輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (60391893)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行動学 / 画像 / シミュレーション工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,オリンピックやワールドカップのような大規模イベントやコミケなどの展示会,野外音楽フェスティバルなど多くの人が集まる環境での人の移動をモデル化し,群集に適切な情報を提示することで安全で安心なナビゲーションを行う科学的方法を明らかにすることを目的としている.本年度は以下に示す通りHelbingらの手法を拡張する手法と深層学習を用いる手法の2つで群集の移動モデルを作成した. (1)Helbing らが Nature などで報告してきた Social Force Model に目的地選択の機能を取り入れることによって群集が移動している最中に目的地が変更できるように拡張した.この拡張によって新国立劇場で行った1300人規模の避難訓練で実際に見られた,先頭の人の移動に誤って付いて行く現象が再現できた.また,本モデルを用いて確信度のパラメータを調整しながらシミュレーションを行うことによって、誘導が曖昧な状態の場合,確信度が少し変化するだけで目的地選択を誤る人数が急激に増加する様子が見て取れた.これらの知見からナビゲーションを正しくするためには誘導効果を定量的に評価することが重要であることが分かった. (2)群集の中で人が周囲の人を避けながら歩く軌跡を計測し,その軌跡を合成して画像を作成し,実際の人の移動方向をその画像のラベルとして与え,深層学習によって軌跡画像からラベルを推定するネットワークを作成することによって,人の移動をモデル化する手法を提案した.連続的に移動軌跡から画像を作り,深層学習によって出力された方向に人を移動させることによって提案手法で人が人を避けながら進む様子をシミュレーションで再現できることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた,Helbing らの手法の拡張による人の移動モデルと逆強化学習を用いた人の移動モデルのうち,前者は順調に進展し,後者は予定通りに進展しなかった.しかし,当初予定していなかった深層学習によるモデル化に成功し,全体としてはおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては以下の2つの点を考慮しながら研究を進める. (1)初年度で提案した2つのモデルについてナビゲーションという観点での拡張を行うことで安全で安心なナビゲーション方法を科学的に明らかにする. (2)新学術領域の研究では異分野との横断型の研究が期待されている.犬のナビゲーションを行っている研究グループなどと連携しながら,犬など人間以外の移動軌跡の抽出やそのモデル化を行う.
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