2017 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲット捕獲運動における、運動系神経回路動作様式の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Systems Science of Bio-navigation |
Project/Area Number |
17H05988
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Research Institution | Okazaki Research Facilities, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
東島 眞一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (80270479)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 神経回路 / イメージング / 餌捕獲運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の生存には、餌(ターゲット)を見つけて捕獲するという行動が必須である。本研究では、シンプルな脊椎動物であるゼブラフィッシュ幼魚を用い、餌捕獲運動を司る神経回路の解析を行う。特に、餌捕獲運動の第一フェーズをなす、対餌定位運動(視認識したターゲットに対して体を定位させる運動)の神経基盤の解明を目指す。イメージング、光遺伝学、行動解析を駆使して、以下の3つの課題に答えることを目標とする。 1.脳内のどの神経細胞群が、対餌定位ターン運動に関わっているのか? 2.ターン運動の強弱は、神経回路内ではどのように表現されているのか? 3.対餌ターン運動に関わる神経細胞群の活動は、この運動に特異的なのか?それとも、ターン運動全般に活動するのか? 上記の課題に答えるための第一歩として、リアルタイム画像処理によって、ゼブラフィッシュ仔魚の位置を捉え、適切なタイミングで餌となる動物性プランクトンを模した映像を提示する実験系を構築した。この実験系によって、ゼブラフィッシュの定位運動を誘発させられることが確認された。しかしながら、当実験系においてゼブラフィッシュは定位運動だけでなく自発的なターン運動も行いうるため、これら二つの運動を判別する基準を現在検討している。 また、上記課題とは別に、共同研究として、コウモリの餌追跡運動における戦術性を探っている。餌となる飛翔昆虫とコウモリとの実際の相互作用を元にして、コウモリの餌追跡運動を仮想空間上で再現することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コンピューターディスプレイによる疑似餌提示により、幼魚にターン運動を誘発する系を立ち上げることはできた。このことは研究の大きな第一歩だが、誘発されたターン運動と、自発的なターン運動を判別することが難しく、その先のカルシウムイメージング実験へ進めるには、よりいっそう、系を洗練させる必要が生じている。このため、当初予定していた、カルシウムイメージング実験をまだ開始することができておらず、当初の計画に比べて遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
定位運動によるターン運動と、自発的なターン運動を区別することができる基準の同定に全力をあげて取り組む。それを達成した上で、平成29年度に取り組むつもりであった、2光子顕微鏡によるカルシウムイメージングを開始し、対餌定位ターン運動に強く関与する神経細胞群を同定する課題に取り組んでいく。
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