2017 Fiscal Year Annual Research Report
光刺激を用いたシグナル伝達の時空間的に精密な制御
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological signaling networks based on mathematical science |
Project/Area Number |
17H06015
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小柳 光正 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30379276)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 光生物学 / 光遺伝学 / ロドプシン / GPCR / Gタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
シグナル伝達をシステムとして理解するためには、各反応の速度や持続性といった動的な情報を得ることが重要であり、そのためにはシグナル伝達の時空間的に精密な制御が必要である。最近私たちは、動物の視覚を支える光作動性のGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるロドプシンおよびその類似光タンパク質をツールとして用いた細胞内シグナル伝達系の光制御に成功した。そこで本研究では、GPCRシグナル伝達系をモデルとして、ロドプシンベースの光制御ツールを用いたシグナル伝達系の高時間分解能制御を“細胞レベル”と“個体レベル”の両方で試みている。その結果、平成29年度は以下の成果が得られた。
・培養細胞において、ロドプシン類と、ロドプシン類を含むGPCRが相互作用するタンパク質であるGタンパク質(シグナルの生成に関わる)およびアレスチン(シグナルの終息に関わる)との結合と解離を光で制御することに成功し、光を用いたシグナル伝達の高時間分解能制御の解析系を確立した。 ・個体レベルでのシグナル伝達の光制御のモデルとして取り組む「インスリン分泌」の光制御について、光制御ツールの評価と最適化および遺伝子導入の準備が整った。 ・従来にはなかった、光照射によって不活性化されるロドプシン類(ペロプシン)を発見した。ペロプシンをベースに開発した新規の光感受性GPCRツールによって、細胞内シグナル伝達を光照射によってオフにすることに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となる光感受性GPCRツールの開発およびシグナル伝達の高時間分解能制御のための解析系の確立に関して十分な成果を得ており、また、光感受性GPCRツールの導入の準備も着実に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに、開発した光感受性GPCRツールを用いたシグナル伝達の高時間分解能制御を培養細胞レベルと個体レベルで進める。
|