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2017 Fiscal Year Annual Research Report

Mathematical analysis of the role of mRNA degradation in mammalian circadian clock

Publicly Offered Research

Project AreaIntegrative understanding of biological signaling networks based on mathematical science
Project/Area Number 17H06018
Research InstitutionOkinawa Institute of Science and Technology Graduate University

Principal Investigator

高橋 明格  沖縄科学技術大学院大学, 細胞シグナルユニット, 研究員 (90637589)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
KeywordsmRNA分解 / 概日リズム / リミットサイクル / 非線形システム / CCR4-NOT複合体 / BRF1 / 転写
Outline of Annual Research Achievements

概日リズムは、生物に備わった約24時間周期のリズムであり、睡眠覚醒、ホルモン分泌、体温、心拍、高次脳機能を制御する。この生理現象は、リミットサイクルと呼ばれる、摂動に対してロバストに周期活動を継続するダイナミクスにより形成され、遺伝子発現自体も振動することから、数理的解析が多くなされてきた。mRNAの量は、転写合成とmRNA分解により厳密に制御されている。これまでの遺伝子発現制御機構の解析は、主にその転写に着目し、進められてきたが、概日リズムにおいては、遺伝子発現の振動形成の 78% が転写制御では説明できないという報告があり、mRNA分解を始めとする転写後調節の重要性が注目されている。mRNA分解は、脱アデニル化と呼ばれるmRNAの3’末端に付加されるpoly(A)鎖の短縮、除去に引き続き、5’キャップ構造が取り除かれたのち、5’-3’および’3’-5’エンドヌクレアーゼにより執り行われる。本研究課題では、mRNA分解の開始ステップである脱アデニル化を破綻させた Cnot1 遺伝子欠損マウス及び細胞を用いて、マウス個体と細胞内における mRNA 分解を介した概日リズム制御機構を解明する。そして、リミットサイクルを示す非線形システムを用いて、mRNA 分解を中心とした数理モデルを構築し、概日リズムの遺伝子発現振動を再現する。その中で、mRNA より合成された BRF1などのRNA 結合蛋白質が、自身や時計遺伝子をコードする標的 mRNA に結合し、CCR4-NOT 複合体をリクルートすることで、mRNA 分解を誘導し、発現量を抑制するという負のフィードバック機構を介した遺伝子発現の振動形成を検証する。本研究の遂行により、mRNA分解を介した概日リズム制御の新規分子機序を明らかにし、概日リズムの異常が原因となる睡眠障害・心血管疾患等の新規治療薬の創生への貢献を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成29年度は、多くのmRNA分解の開始ステップである脱アデニル化を担うCCR4-NOT複合体の構成因子であるCnot1、ならびに、CCR4-NOT複合体と結合するRNA結合蛋白質BRF1が概日リズムに応じてその発現を振動させることを示した。また、Cnot1ヘテロ欠損マウスにおいて、概日リズム時間の延長を確認した。その分子機構の一端として、Cnot1ヘテロ欠損肝臓において、時計遺伝子Per2 mRNAの分解速度の遅延がみられ、発現振動の増幅量が大きくなっており、概日リズムを通じて、Per2のタンパク質も発現が高く維持されていることを示した。また、Cnot1ヘテロ欠損マウス胚線維芽細胞において、野生型細胞に比して、Per2 mRNAは安定化されていた。さらに、Per2 mRNAの3’-UTR領域のAU-richエレメントを介してBRF1が結合していることを示した。そして、HEK293細胞において、siRNAによるBRF1の発現抑制を行った結果、コントロールの細胞に比べて、Per2 mRNAの安定化がみられた。以上より、BRF1がPer2 mRNAにAU-richエレメントを介して直接結合し、CCR4-NOT複合体をPer2 mRNAにリクルートすることにより、Per2 mRNAの分解が促進されていることを示した。興味深いことに、BRF1 mRNAの3’-UTR領域には、BRF1タンパク質自身の結合配列が見られ、BRF1のノックダウンはBRF1 mRNAを安定化することから、BRF1による自身のmRNAの分解が、BRF1の発現振動の形成に寄与している可能性が示唆された。そこで、数理モデルを用いて、この可能性を検証した結果、BRF1タンパク質によるBRF1 mRNAへの負のフィードバックにより、BRF1 mRNAとタンパク質の発現振動を再現することができた。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は、CCR4-NOT/BRF1 mRNA分解系の概日リズム制御における重要性をさらに詳細に示すために、BRF1の概日リズム制御における役割を明らかにする。このため、全身の概日リズムを制御する視交叉上核(SCN)にも発現を示すCamkII-Creマウスを用いたBRF1のコンディショナルノックアウトマウスを作成し、マウス個体における概日リズムの変化を調べる。また、BRF1欠損初代培養肝臓細胞を用いて、BRF1が概日リズム周期、ならびに、時計遺伝子の発現振動に与える影響を細胞レベルで実証する。さらに、BRF1の制御下にあり、発現振動が制御されている遺伝子群を探索する。このため、BRF1欠損肝臓ならびにSCNから抽出したRNAを用いて、RNA-seqを行い、BRF1欠損により、発現振動が変動する遺伝子群をあぶりだす。また、BRF1抗体によるRNA免疫沈降を行い、得られたRNAを次世代シークエンサーで解析(RIP-seq)し、BRF1と結合するmRNA群を同定する。そして、RNA-seqとRIP-seqの共通の遺伝子群をBRF1の標的mRNAと評価する。その後、Per2 mRNAをはじめとする時計遺伝子及び、上記で同定したBRF1の標的mRNAの転写による発現振動制御モデルと、BRF1を介したmRNA分解による発現振動モデルを融合させ、転写とmRNA分解のクロストークを加味した数理モデルを構築する。そして、Per2 mRNA やBRF1の標的mRNAの概日リズムでみられる発現振動の形成における、mRNA分解の重要性を評価する。さらに、概日リズムで発現を振動させるmRNA分解因子Upf1の概日リズム制御機構に関しても、上述の様に、マウス、細胞、数理モデルを用いて解析する。以上により、mRNA分解を介した概日リズム制御の新規分子メカニズムの解明を目指す。

  • Research Products

    (11 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (10 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] The CCR4-NOT deadenylase complex controls Atg7-dependent cell death and heart function2018

    • Author(s)
      Yamaguchi, T., Suzuki, T., Sato, T., Takahashi, A., Watanabe, H., Kadowaki, A., Natsui, M., Inagaki, H., Arakawa, S., Nakaoka, S., Koizumi, Y., Seki, S., Adachi, S., Fukao, A., Fujiwara, T., Natsume, T., Kimura, A., Komatsu, M., Shimizu, S., Ito, H., Suzuki, Y., Penninger, J.M., Yamamoto, T., Imai, Y., Kuba, K.
    • Journal Title

      Science Signaling

      Volume: 11 Pages: eaan3638

    • DOI

      10.1126/scisignal.aan3638

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 脱アデニル化によるmRNA分解速度と合成活性の調節機構2017

    • Author(s)
      高橋明格、高岡翔平、山口智和、久場敬司、山本雅
    • Organizer
      第19回 日本RNA学会年会
  • [Presentation] 肝臓発生時の周産期から成熟期における遺伝子発現に果たすmRNA分解の役割2017

    • Author(s)
      鈴木亨、菊口千智、西島さおり、高橋明格、山本雅
    • Organizer
      第19回 日本RNA学会年会
  • [Presentation] CNOT1 regulation of eukaryotic circadian clock through post-transcriptional mechanisms2017

    • Author(s)
      Haytham M.A Mohamed, Akinori Takahashi, Tadashi Yamamoto
    • Organizer
      第19回 日本RNA学会年会
  • [Presentation] mRNA分解を介した肥満症制御機構の解明2017

    • Author(s)
      高橋明格、山本雅
    • Organizer
      第10回 Symphony
    • Invited
  • [Presentation] 肥満症制御におけるmRNA分解の意義2017

    • Author(s)
      高橋明格、山本雅
    • Organizer
      第38回 肥満学会年会
  • [Presentation] mRNA分解を介した肥満遺伝子の発現誘導メカニズム2017

    • Author(s)
      高橋明格、松木泰子、Haytham Mohamed M.A.、稲田利文、山本雅
    • Organizer
      第40回 日本分子生物学会年会
  • [Presentation] CNOT1 elongates circadian period through post-transcriptional regulation of Per2 and BMAL12017

    • Author(s)
      Haytham Mohamed M.A., Akinori Takahashi, Hitoshi Okamura, Tadashi Yamamoto
    • Organizer
      第40回 日本分子生物学会年会
  • [Presentation] 5'-3'エキソリボヌクレアーゼXRN1 はDYRK1Aと結合し、リン酸化状態に応じて核局在を調節する2017

    • Author(s)
      高岡 翔平、高橋 明格、山本 雅
    • Organizer
      第40回 日本分子生物学会年会
  • [Presentation] The role of the catalytic subunits of CCR4-NOT complex in mRNA deadenylation and cell viability2017

    • Author(s)
      Dina Mostafa, Akinori Takahashi, Taku Kureha,Toru Suzuki,Tadashi Yamamoto
    • Organizer
      第40回 日本分子生物学会年会
  • [Presentation] Investigating physiological and stress-related Tob protein functions in the brain2017

    • Author(s)
      Mohieldin Youssef, Hiroki Hamada, Akinori Takahashi, Tadashi Yamamoto
    • Organizer
      第40回 日本分子生物学会年会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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