2017 Fiscal Year Annual Research Report
前頭前野活動の網羅的計測と情報表現解読法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Correspondence and Fusion of Artificial Intelligence and Brain Science |
Project/Area Number |
17H06027
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宇賀 貴紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50372933)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境の変化に応じて多様な意思決定をする能力は、霊長類で特に発達した本質的な脳機能である。この機能に前頭前野が深く関わっていることは明白であるが、前頭前野の情報表現は複雑であり、行っている計算をどのように大脳皮質ネットワークとして実現しているのかを理解することは困難である。本研究では、知覚判断の系に則ったタスクスイッチ課題中に、前頭前野の複数領域から皮質脳波(ECoG)を計測し、神経活動を網羅的に取得する。さらに、情報表現が複雑な前頭前野の神経活動に、深層学習によるデコーディング技術を応用し、柔軟な意思決定を可能にする大脳皮質神経ネットワークを明らかにすることを目標とする。 本研究では、2つの環境に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチ課題をサルに適用し、柔軟な意思決定に重要である前頭前野の神経活動を網羅的に計測する。本年度は前頭葉眼窩面、内側面、外側面を取り囲む極間2.6mmの128chECoG電極を開発し、1頭のサルに留置する手術を行い、タスクスイッチ課題中のECoG信号の計測を行った。従来手法を用い、解析を行った結果、多くの領野において、視覚刺激にタイムロックしたハイガンマ活動、事象関連電位(ERP)、トライアル間位相同期(ITC)を検出できた。また、眼球運動にタイムロックした活動も検出することができた。これらの結果は、前頭前野に課題関連神経活動が見られ、それらをECoG信号として捉えることができることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前頭前野神経活動を網羅的に計測するECoG電極を開発、留置し、神経活動を計測することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた課題関連ECoG信号から、各電極の情報表現を明らかにする必要がある。そのためまず、従来の事象関連電位や時間周波数解析で、外界の情報、環境、意思の推移をどの程度解読できるのかを明らかにする。続いて、サポートベクターマシーンなどの機械学習を用いた手法で情報表現を明らかにし、最後に深層学習を用いたデコーディングを行う。
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