2017 Fiscal Year Annual Research Report
Predictive coding on auditory processing: spatio-temporal structure of signal flow in whole-cortical electrocorticograms
Publicly Offered Research
Project Area | Correspondence and Fusion of Artificial Intelligence and Brain Science |
Project/Area Number |
17H06034
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小松 三佐子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00525545)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / ニューラルネットワーク / 皮質脳波 / ECoG / 深層学習 / マーモセット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、皮質全体から記録された皮質脳波(全脳皮質脳波)を用い予測符号化にかかわる脳内情報処理の時空間構造を明らかにすることを目的としている。 脳は、時々刻々と入力される刺激に対し、絶え間なく般化と予測(predictive coding; PC)を行っている。PCに関する数学的モデルは皮質の層構造や神経細胞レベルの役割を考慮したものまで様々提案されている。近年ではこのようなモデルを機械学習に適用したディープラーニング(深層学習)により大規模データ解析に大きな進展がみられている。しかし脳内での実装についてはまだ不明な点が多く、とくに全脳レベルでの動力学的性質についてはまったくわかっていないのが現状である。 当該年度は、すでに取得済みであった聴覚情報の予測符号化にかかわる神経活動を従来の統計学的手法を用いて解析した。その結果、聴覚情報処理には聴覚皮質だけでなく前頭葉・頭頂葉などの脳全域がかかわること、脳内情報処理が並列的に行われている可能性が示唆された。また、予測誤差が生じる場合には、そうでない場合と比較して前頭葉の関与が重要になることが示唆された。さらに、聴覚皮質―前頭葉の機能結合が予測誤差によって動的に修飾されている可能性があることがわかった。これらの結果は予測符号化モデルの新たなアルゴリズム開発へつながることが期待される。また、深層学習モデルを皮質脳波へ応用する環境を整え、簡単な解析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予測符号化にかかわる脳内メカニズムについて検討するための基盤技術の開発を行い論文として発表した。また、ossball音刺激提示中のマーモセットの神経活動を解析し、予測符号化にかかわる脳内メカニズムについて示唆的な結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、予測符号化にかかわる神経活動に対し深層学習モデルを適用し、得られた知見を深層学習モデルのアルゴリズム開発へフィードバックする計画であった。しかしながら従来の解析手法を用いて予測符号化の神経メカニズムについて重要な示唆が得られたので、当初計画を変更し、今後は直接、得られた知見を深層学習モデルのアルゴリズム開発へ応用していく予定である。また、神経科学的知見について、さらなる検証を行っていく。
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Research Products
(6 results)