2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of computational assay for psychiatric disorders using deep learning
Publicly Offered Research
Project Area | Correspondence and Fusion of Artificial Intelligence and Brain Science |
Project/Area Number |
17H06039
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山下 祐一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第七部, 室長 (40584131)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 深層学習 / ニューラルネットワーク / 計算論的精神医学 / 精神疾患 / 脳機能計測 / 人工知能 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、深層学習(Deep learning)技術を用いた安静時機能的磁気共鳴画像(rsfMRI)データ解析に基づく、新しい精神疾患の検査・評価法「計算論的検査・評価法(computational assay)」を開発することを目的とする。具体的には、時系列情報から自己組織的特徴量抽出が可能な深層ニューラルネットワークを用いて、rsfMRIデータから、精神疾患患者個々人の脳状態に対応するデータを抽出する方法の確立を目指す。特に、従来の精神疾患カテゴリーにとらわれず、非特異的に出現しうる精神症状と、それに対応する生物学的基盤の検討を重視する次元的アプローチ、に基づいて精神疾患患者個々人のデータを検討することで、患者ごとの診断・疾患予後や治療反応性予測などを総合的に評価する方法の基盤となる技術の確立を目指す。 初年度はまず、2次元動画解析用に開発された深層ニューラルネットワークを、MRIの3次元脳画像用に拡張する改変を施し、公開データベースから得たrsfMRIデータを用いて、rsfMRIの3次元脳画像の時系列データから特徴量を自己組織化的に抽出する技術の確立を試みた。通常のfMRI解析と同様に、体動の補正、撮像タイミング補正、高精細解剖画像との合わせ込み、頭蓋内セグメンテーション(脳実質の切り出し)、正規化、平滑化などの前処理を適切に行うための探索的検討を行った。予備的なデータを用いた学習実験の結果、特に、rsfMRIの信号値の範囲を正規化する (白質や脳脊髄液由来の信号を除去する) 前処理が有効であることがわかった。 これらの前処理を行ったデータを用いて、自己符号化器(オートエンコーダー)を用いた学習実験で、rsfMRIデータを個人間のばらつきに加えて、個人内での時間的変化も再現しながらデータを再構成し、約0.7%までデータを圧縮しながら特徴量を抽出できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、初年度はまず、2次元動画解析用に開発された深層ニューラルネットワークを、MRIの3次元脳画像用に拡張する改変を施し、公開データベースから得たrsfMRIデータを用いて、rsfMRIの3次元脳画像の時系列データから特徴量を自己組織化的に抽出する技術の確立をすることであった。前処理の方法を探索的に検討し、すでに深層ニューラルネットワークの学習に適した方法の検証が完了している。前処理を行ったデータを用いて、自己符号化器(オートエンコーダー)を用いた学習実験を行い、rsfMRIデータを個人間のばらつきに加えて、個人内での時間的変化も再現しながらデータを再構成し、約0.7%までデータを圧縮しながら特徴量を抽出できることが確認できた。以上より、順調に計画は進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、健常者rsfMRIからの有益な特徴量抽出が確かめられたモデルを用いて、精神疾患の計算論的検査・評価法(computational assay)開発を目的とした実験を行う。従来の疾患カテゴリーにとらわれない次元的アプローチに基づいて、複数の精神疾患のデータを一括した大規模な疾患群のデータから、深層ニューラルネットワークによる特徴量抽出を行う。抽出した特徴量空間の分布と、特定の精神疾患カテゴリー・症状との対応、あるいは特徴量空間上で、分離される患者クラスタがないかどうか、などを探索的に検討する。訓練した深層ニューラルネットワークを使って、交差検証のために用意したテストデータを解析し、計算論的検査・評価法のプロトタイプとしてのテストを行う。すなわち、交差検証のテストデータは、仮想の新たな患者データであり、特徴量空間マップのどこに位置するのかが、計算論的検査・評価法による検査・評価結果となる。これにより、患者の診断や症状がどの程度の精度で予測できるか、を検討することが可能になる。
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Research Products
(4 results)