2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation about roles of orexin receptor agonists on the immobility and lethargy in inflammatory model mice and approaches to new drug discovery
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
17H06049
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
入鹿山 容子 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (90312834)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オレキシン受容体作動薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省の資料によると、我が国の急性疾患の在院日数は、諸外国に比べて最も長く、医療費適正化計画の一つとして在院日数の短縮化が求められている。急性疾患の入院患者において、感染症や術後の侵襲の影響によって起こる倦怠および不活動状態などの意欲の低下は、早期離床を目的とした運動療法を継続するための障害となっており、活動への意志力を高める介入が必須とされている。本研究ではリポポリサッカライド(LPS)により惹起された全身性炎症モデルマウスに新規低分子量オレキシン受容体作動薬(YNT-185)を予防的に投与することにより観察された、倦怠や不活動状態からの早期回復の作用機序を解明し、慢性消耗性疾患の患者の活動への意志力創成の支援に繋げる。申請者らはLPS (リポポリサッカライド)により惹起された全身性炎症モデルマウスに、新規低分子量オレキシン受容体作動薬(YNT-185)を予防的に投与すると、不活動状態からの早期回復を促すことを見出した (水平運動、輪回し運動で評価)(未発表)。また、これらの回復効果はオレキシン過剰発現マウス、オレキシンの脳室内投与でも観察された。さらにLPSにより引き起こされた全身炎症モデルで、YNT-185の作用が見られた投与スケジュールで脳を固定しFos抗体での免疫組織学的染色により、オレキシン受容体作動薬の脳内作用部位を同定した結果、セロトニン含有神経核である延髄縫線核が検出された。さらに予備的実験ではあるが、LPSにより惹起された全身性炎症モデルマウスでのオレキシン受容体作動薬の標的部位である縫線核を、薬理遺伝的(DREADD)手法を用いて活性化した場合、オレキシン受容体作動薬投与でみられた不活動状態からの早期回復を促した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.全身性炎症モデルマウスの活動量低下状態に対するオレキシン受容体作動薬の評価:LPS (リポポリサッカライド)により惹起された全身性炎症モデルマウスに、新規低分子量オレキシン受容体作動薬(YNT-185)を予防的に投与すると、不活動状態からの早期回復を促すことを見出した (水平運動、輪回し運動で評価)(未発表)。2.オレキシン過剰発現トランスジェニックマウスを用いて1の方法で全身性炎症モデルを作製し、水平運動、回転運動、摂食量等により回復程度を評価した結果、オレキシン受容体作動薬と同様に不活動状態からの早期回復が見られた。3. オレキシン受容体作動薬の脳内作用部位の同定:LPSにより引き起こされた全身炎症モデルで、YNT-185の作用が見られた投与スケジュールで脳を固定しFos抗体での免疫組織学的染色により、オレキシン受容体作動薬の脳内作用部位を同定した結果、セロトニン含有神経核である延髄縫線核が検出された。予備的実験ではあるが、LPSにより惹起された全身性炎症モデルマウスでのオレキシン受容体作動薬の標的部位である延髄縫線核を薬理遺伝的(DREADD)手法により活性化した場合、オレキシン受容体作動薬投与でみられた不活動状態からの早期回復を促した。今年度予定していた実験をおおむね完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はさらに、LPSにより惹起された全身性炎症モデルマウスでのオレキシン受容体作動薬の標的部位である延髄縫線核を、薬理遺伝学的(DREADD)手法により活性化あるいは抑制した場合、オレキシン受容体作動薬投与でみられた不活動状態からの早期回復を促すことができるかどうか、またオレキシン受容体作動薬の効果がなくなるかを検証し、その作用機序を解明していく。また、オレキシン受容体作動薬の効果には、セロトニン神経のオレキシンタイプ2受容体(OX2R)が重要であることの証明、また炎症との関連を調べ作用機序を解明していく。具体的には以下の実験を行う。1.セロトニン神経のマーカーであるePet-1発現細胞にCreを発現させたマウスとfloxM3TGマウスを掛け合わせたePet1-M3-DREADDマウスで、LPSにより全身炎症を引き起こし、標的部位をCNO投与により活性化させた場合でも、オレキシン受容体作動薬投与と同様に、不活動状態からの早期回復を促すことができるかどうかを検証する。 2.またePet-1マウスとfloxM4TGマウスを掛け合わせたePet1-M4-DREADDマウスではオレキシン受容体作動薬の効果が抑制されることを検証する。3.セロトニン神経のマーカーであるePet-1発現細胞にCreを発現させたマウスとfloxOX2R マウスを掛け合わせ、セロトニン神経特異的にOX2Rを欠損させたマウスで、LPSにより全身炎症を引き起こし、オレキシン受容体作動薬の効果が消失するかどうかの検証実験を行う。4.全身性炎症モデルマウスにおけるオレキシン受容体作動薬(YNT-185)の不活動状態からの早期回復効果が、全身性炎症を軽減する作用によるかを検討するために、YNT-185投与後、時間依存的に血中のサイトカインレベルを測定し、因果関係を調べる。
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[Presentation] Orexin agonist improves inflammation-induced immobility2018
Author(s)
Shuntaro Uchida, Yoko Irukayama-Tomobe, Yasuhiro Ogawa, Takuto Yamaguchi, Katsuyasu Sakurai, Shingo Soya, Tsuyoshi Saito, Hiroshi Nagase, Masashi Yanagisawa, Takeshi Sakurai
Organizer
WCP 2018, 18th World Congress of Basic and Clinical Pharmacology(第18回 国際薬理学・臨床薬理学会議)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Orexin agonist improves inflammation-induced immobility2017
Author(s)
Shuntaro Uchida, Yoko Irukayama-Tomobe, Yasuhiro Ogawa, Takuto Yamaguchi, Yukiko Namekawa, Ryo Fukai, Tsuyoshi Nemoto, Hiromu Tominaga, Yukiko Ishikawa, Katsuyasu Sakurai, Shingo Soya, Tsuyoshi Saito, Hiroshi Nagase, Masashi Yanagisawa, Takeshi Sakurai.
Organizer
The 6th Annual IIIS Symposium
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