2017 Fiscal Year Annual Research Report
オレキシン系の解明のための核医学分子イメージングプローブの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
17H06055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 裕之 京都大学, 薬学研究科, 助教 (40710786)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射性医薬品 / PETイメージング / オレキシン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
オレキシン系は摂食や睡眠障害などへの関与のみならず、セロトニンやドパミン、ノルエピネフリンといった意志力に関わる多くの神経伝達物質へ影響を与えている。オレキシン受容体(OXR)は、オレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)の2種のサブタイプがあるが、これまでにこれらを生体内で可視化した報告はない。OX1RとOX2Rの間では脳内の分布などに違いがあることから、脳内におけるオレキシン系の働きを明らかにするには、OX1RおよびOX2Rをそれぞれ個別に可視化することが求められる。そこで本研究では,OX1R、OX2Rそれぞれを選択的にイメージングすることを可能とする新規PETプローブの開発を目的とする。 1) OX1R選択的PET用プローブ テトラヒトロイソキノリン(THIQ)を母核とした2種の誘導体を合成した。in vitroにおける結合実験においてTHIQ誘導体はいずれもOX2R発現細胞と比較してOX1R発現細胞に対して高い結合性を示した。また、[18F]THIQ誘導体を正常マウスに投与したところ、投与後2分において低い脳への移行性(0.6 - 0.7 %ID/g)を示した。 2)OX2R選択的PET用プローブ ジアリルニコチンアミド(DAN)を母核とした2種の誘導体を合成した。in vitroにおける結合実験においてDAN-1のみOXR非発現細胞およびOX1R発現細胞に比べOX2R発現細胞に対して有意に高い集積を示した。血漿中安定性評価において、[18F]DAN-1は60分後において99%以上が未変化体として存在した。さらに正常マウスを用いた体内放射能分布実験において、投与2分後における脳移行性(1.3% ID/g)を示した。 以上の結果より、THIQおよびDANがOX1RおよびOX2Rそれぞれを標的としたPET用プローブの母核となり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OX1RおよびOX2Rそれぞれを標的としたPETプローブとしての基礎的評価を行い、OXRのPETイメージングに応用可能な母核を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に見出した母核を用いた更なる最適化研究を行い、見出した有用な化合物に関してマウスを用いたPETイメージングを実施する予定である。
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Research Products
(1 results)