2017 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類のやる気におけるドーパミン受容体系の役割の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
17H06056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 克樹 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70243110)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マーモセット / ドーパミン / やる気 / ノックダウン / ウィルスベクター / 報酬系 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は、まずマーモセットのやる気を定量的に測定するための装置の開発を行った。実験課題としては、報酬量(reward size)を液体報酬として数段階用意し、報酬量を変数としたやる気を測定するものである。そのため、従来の固形報酬用実験装置では対応できないので、液体報酬を用いることのできる認知実験装置の開発が必要であった。送り出す液体量を微量で調整できるポンプを用いて、正確に液体量を調整できるように装置に組み込み、複数の報酬を並行して出すことのできる実験装置を設計し、作製した。作製の段階で、マーモセットのタッチ反応による振動が液体報酬の飲み口に伝わり、マーモセットが報酬を得る前に落下してしまうなどの問題が生じ、そのたび問題解決が必要になった。予定より長く液体報酬装置の作製に時間を要した。 次に学習課題の開発に取りかかった。3段階の報酬量を用意し、報酬量を変数としたやる気を測定する。正答してから報酬が出るまでの遅延時間(delay length)を3段階(長・中・短)設定し、待ち時間を変数としたやる気を測定する。この3x3の9条件で単純なVisual reaction time taskを設計した。報酬が多くなればなるほどエラー率(error rate)が下がり、遅延時間とエラー率はリニアな関係という結果が予想される。当初は4段階の報酬量を準備する予定であったが、マーモセットが安定して実施できる試行数が限られているため、12条件から9条件に絞って実施することとした。 健常なマーモセットでの行動データを取るべく、平成29年度はタッチ反応の訓練を開始した。 一方で、ドーパミンの受容体をshRNAで選択的にノックダウンするウイルスベクターを作製する。ベクター作製に関して、連携研究者である理化学研究所の山森グループと打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
液体報酬を安定して与えるために振動の問題など解決すべき問題が出てきたため、予定より時間を要した。また、複数の報酬価の報酬(例えば、水とスポーツ飲料と砂糖水)を同時に使えるように複数のポンプを限られたスペースに装着するために工夫を要した。こうした問題の解決が一応できたため、次年度は順調に研究が進められる予定である、
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度にマーモセットの認知実験用液体報酬装置が完成した。平成30年度は、昨年度に引き続き、マーモセットのやる気を定量的に測定するための課題の訓練を続け、健常なマーモセットの行動特性を明らかにする。実験課題としては、報酬量を液体報酬として3段階用意し、報酬量を変数としたやる気を測定する。さらに、正答してから報酬がでるまでの遅延時間を3段階設定し、待つ時間を変数としたやる気を測定する。報酬が多くなればなるほどエラー率が下がり、遅延時間とエラー率はリニアな関係になると予想される。 健常なマーモセットの行動を調べた後、各ドーパミン受容体系を選択的にノックダウンして、やる気がどの受容体系に依存しているのかを明らかにする。
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