2017 Fiscal Year Annual Research Report
現代の脂質食がもたらす意志力制御の先天的脆弱性と肥満
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
17H06059
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
酒寄 信幸 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (30747457)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / 飲水行動 / モチベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国において見られる、n-6多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取過多、およびn-3 PUFAの摂取不足というn-6:n-3 PUFA摂取バランスの乱れが、マウスにおける摂水行動に及ぼす影響を解析するため、n-6 PUFAとn-3 PUFAがバランスよく配合されたコントロール飼料、またはn-6 PUFA過多/n-3 PUFA欠乏飼料(以下、高n-6/低n-3飼料とする)を野生型雌マウスに投与し、妊娠・出産後、仔を12週齢まで飼育した。 まず仔の摂餌量および体重を経時的に評価したが、群間差は見られなかった。これにより、コントロール飼料および高n-6/低n-3飼料自体に肥満を誘発する効果はないことが分かった。 次にスクロース水に対する摂取量の解析を行った。12時間の絶水後に10%スクロース水を投与し、1時間、2時間、4時間、24時間後の積算摂取量を評価したところ、高n-6/低n-3飼料投与群において摂取量の増加が見られた。3%および30%スクロース水においても同様に摂取量の増加が見られた。一方、水の摂取量には群間差は認められなかった。また、自由摂水条件下においても高n-6/低n-3飼料投与群においてスクロース水の摂取量の増加が見られた。以上の解析により、高n-6/低n-3飼料投与群においてはスクロース水の摂取量が増加することが分かった。 さらにオペラントチャンバーを用いたProgressive ratio試験により、高n-6/低n-3飼料投与群においてスクロース水摂取に対するモチベーションが増加していることを見出した。 また、これらのマウスにスクロース水および高脂肪飼料を長期投与すると、高n-6/低n-3飼料投与群において体重増加がより大きくなる傾向があり、高n-6脂肪酸/低n-3脂肪酸食が肥満を引き起こす原因となりえることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたスクロース水に対する摂取行動解析およびProgressive ratio試験に着手し、当初の仮説を支持する結果が得られている。スクロース水および高脂肪飼料の長期投与においても高n-6/低n-3飼料投与群において体重増加がより大きくなる傾向が認められ、計画通りに実験は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、当初の計画通り、マイクロダイアリシス法と高速液体クロマトグラフィーを用いた、スクロース水摂取中の脳内ドパミン量の定量、および胎生期における中脳の組織解析を行う。
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