2017 Fiscal Year Annual Research Report
気分に着目した高齢者の実行機能を高める軽運動プログラムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
17H06065
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute, Meiji Yasuda Life Foundation of Health and Welfare |
Principal Investigator |
兵頭 和樹 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (60782563)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 低強度運動 / リズム体操 / 気分 / 実行機能 / 前頭前野 / 近赤外線分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う前頭前野の衰えは、意欲や実行機能の低下を引き起こす。中・高強度の有酸素運動は前頭前野機能を高めることが報告されているが、多くの高齢者は身体的・心理的な要因からその実践・継続は困難である。本研究は、低体力の高齢者でも意欲的に継続実践可能な低強度の運動プログラムを開発することを目的とする。本年度は、エアロビック連盟・筑波大学と共同で、体幹の動きを中心としたシンプルなリズム体操、“スローエアロビック”のプロトタイプを作成し、その効果検証をおこなった。健常高齢者20名を対象に、10分間のスローエアロビックをおこなう前後に二次元気分尺度で快適度や覚醒度などの気分を測定するとともに、ストループ課題を実施し実行機能を評価した。ストループ課題中は近赤外線分光法装置(fNIRS)を用いて前頭前野の脳活動を計測した。また、コントロール条件として事前の漸増運動負荷試験で得られた換気性作業閾値の60%の強度でおこなう低強度自転車運動の前後に気分と実行機能を測定する条件を別日におこない、運動間の効果を比較した。その結果、両条件の運動強度は同程度であったが、スローエアロビックは低強度の自転車運動と比べて快適度や活性度を高めることを確認した。一方、覚醒度や実行機能の向上効果は両条件で同様に見られ、運動条件の差は見られなかった。今後は、脳活動データの分析を進めるとともに、実行機能をより高めるためのスローエアロビック開発を目指して、運動プログラムを修正して再検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画どおりに研究が遂行できたが、実行機能に効果的な運動プログラムの開発には至っておらず、運動内容を再考する必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度におこなった実験の脳活動データ分析を進める。また、実行機能は覚醒度と関連することが報告されており、運動のテンポを上げることが覚醒度の向上につながる可能性があることから、新たな運動プログラムとして速いテンポと遅いテンポの動きを組み合わせたスローエアロビックの開発に取り組んでおり、今年度は新たなスローエアロビックが実行機能・気分に与える効果とその脳内メカニズムを検討する。
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Research Products
(4 results)