2018 Fiscal Year Annual Research Report
稲作農耕社会の発展を背景とした家禽利用の変化の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Rice Farming and Chinese Civilization : Renovation of Integrated Studies of Rice-based Civilizations. |
Project/Area Number |
18H04172
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 准教授 (60452546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニワトリ / ガチョウ / 動物考古学 / 酸素同位体比分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 安徽省の遺跡出土鳥類骨の調査:小孫崗遺跡(約7,200-6,800年前)、南城孜遺跡(約4,600--3,500年前)、台家寺遺跡(約4,300--3,200年前)出土の鳥類骨を肉眼比較により同定した。キジ科はいずれの遺跡でも比較的高頻度で認められた一方、形態的特徴からニワトリの可能性の有無が判別できる骨ではニワトリの可能性がある資料は認められていない。台家寺遺跡で確認されたガン族の骨はいずれも成鳥のものであり、また産卵期の雌個体であったことを示す骨髄骨も認められていない。
(2) 田螺山遺跡出土キジ科のコラーゲンタンパク分析:これまでの調査で確認したキジ科の叉骨と肩甲骨を対象にコラーゲンタンパク分析による判別を実施した。分析の結果、両資料でキジやヤマドリで認められニワトリにはないアミノ酸配列のピークが検出され、ニワトリでみられるピークは認められなかった。この結果から両資料はニワトリのものではないことが明らかになった。また、このことから田螺山遺跡においてニワトリは利用されていなかったことが示唆された。
(3) ガン族の骨の放射性炭素年代測定:田螺山遺跡から出土したガン族の骨のうち、酸素同位体比分析で家畜個体(ガチョウ)に由来するものと考えられる骨について年代測定を実施した。放射性炭素年代測定の結果、いずれの資料も較正年代は約6,600~7,000年前を示し、後世の資料の混入ではないことが明示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り、安徽省の遺跡出土鳥類骨の調査を現地で行うとともに、田螺山遺跡出土キジ科のコラーゲンタンパク分析、およびガン族の骨の放射性炭素年代測定を順調に実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
田螺山遺跡における鳥類利用の時代的変遷を明らかにするために、特定のグリッドを対象に各層から出土した鳥骨の全点を分析する。また、ガン族の骨の酸素同位体比分析の対象資料を増やし、ガチョウの可能性がある骨を探索する。さらに、家畜化されたガン族資料の形態的な特徴を調べるために、スミソニアン博物館など各地の博物館を訪れ、標本調査をする。
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Research Products
(5 results)