2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-cultural comparison of the recognition of facial color and emotion
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
18H04183
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
溝上 陽子 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40436340)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顔色 / 色認識 / 色知覚 / 情動認識 / 異文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
顔の色は健康状態や感情を読み取る情報となるが、実際に私たちがどの程度敏感に顔色を知覚しているか、そこからどの程度情動を読み取れるのかは明らかではない。また、人種や文化により、顔の色分布や色変化の仕方および表情の出方が異なることから、それらが顔の色知覚と情動認識の関係にも影響する可能性がある。我々は、日本人女性の顔を用いて、顔の明度が等しい場合でも、赤みを帯びた顔は黄みを帯びた顔よりも明るく見えることを示してきた。また、メラニンよりヘモグロビンの変化による顔色変化の方が識別しやすいことを示唆する結果を得ている。本研究課題では、顔の明るさ認識に対する色相の影響、顔色の識別能力、顔色の変化に基づく情動認識、それぞれに対する人種・文化の違いを検討している。 本年度は、主として、異なる人種の顔評価刺激画像を用いて、日本人の被験者を対象に行った顔の明るさ知覚の実験を行った。顔は同一(日本人の顔)だが、西洋人、アフリカン、タイ人、日本人の顔色平均値に顔の色を変えた評価刺激画像を作成した。それらの顔画像の色相を赤み方向と黄み方向に各2段階ずつ変調し、テスト刺激画像とした。明るさマッチングのためのスケール刺激画像には、各人種の平均顔色を明度方向に段階的に変調した画像を用いた。テスト刺激の顔の明るさにスケール刺激の明るさをマッチングする実験を行った結果、いずれの人種の顔色でも、赤みを帯びた顔は黄みを帯びた顔よりも明るく見える傾向が見られた。ただし、アフリカンの場合の変化は小さい傾向にあったことから、顔の明度が明るさ知覚効果の大きさに影響を与える可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主として顔の明るさ認識に対する色相の影響、顔色の識別能力に関する実験を、日本人対象に行った。顔の色知覚と情動認識の関係の実験には至っていないが、顔の明るさ認識における考察を深めることができた。また、タブレット端末を用いたポータブルな実験環境を構築し、予備的な視覚評価実験を行った。タイ等の外国でも予備実験も行い、次年度の日本、欧米、東南アジアにおける比較実験の準備を進めることができた。以上より、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
タブレット端末を用いたポータブルな実験環境を構築中できたことから、今後は、日本、欧米、東南アジアにおいて、視覚評価実験を行う予定である。また、顔の色知覚と情動認識の関係については、新しく研究室に加わった学生の協力のもと、推進する計画である。
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