2018 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the face and body perception: Integrative approach from the perspective of cognitive evolution
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
18H04194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70237139)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顔認知 / 身体認知 / 比較認知科学 / 比較発達科学 / 比較文化認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
顔や身体は社会的な刺激であり、それらが発信する情報は多岐にわたるが、現生種間での比較研究を主軸とする比較認知科学では、種や個体に関する情報の認識の研究が圧倒的に多く、性別、年齢、健康状態などそれ以外の重要な情報の知覚・認識については、十分に解明されているとはいいがたい。本研究計画では、顔と身体が共有する「信号発信器官」と「全体的処理」という2つの類似性から、顔認識と身体認識の諸相を比較認知科学的に検討し、その相互関係について、系統発生的制約と収斂-多様性の観点から明らかにしていく。 本年度は以下に示す4つの課題について検討を進めた。(1)身体知覚における1次構造/2次構造の影響の比較認知発達研究:チンパンジーとヒトを対象に、身体の全体的処理に関する身体化と既知性の影響を検討し、ヒトとチンパンジーでは身体化と既知性の寄与に種差があることが示唆された。(2)顔・身体認知と年齢認知の関係:チンパンジーとボノボを対象に赤ちゃん顔の認識に関して、アイトラッキングや視覚探索課題を用いて検討を進めた。その結果、チンパンジーでは赤ちゃん図式と幼児色の相互作用が強く観察された。また、ヒトを対象に赤ちゃん図式の再生における文化差についても検討を始めた。(3)チンパンジーにおける情動的注意の研究:表情表出に含まれる情動的情報がどのようにチンパンジーの注意を捕捉するかについて複数の課題で検討を進めている。オブジェクト検出に長けた課題であっても、表情間の情動価の違いによる注意の捕捉の程度に差がみられることが示唆された。 イルカおよびウマにおける身体知覚:イルカ、ウマそしてチンパンジーを対象に同時弁別課題を用いた種弁別課題を実施した。各種テストを行い、それぞれの種が異なる手がかりを使用してい折る可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した課題はそれぞれに順調に進展している。着実にデータを蓄積し、その成果を学会発表や論文として公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進捗している。次年度は最終年度であるので、それぞれの課題を最終段階にまでもっていき、それぞれに結論を導き、さらなる展開への足掛かりを築いていきたい。
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