2018 Fiscal Year Annual Research Report
Recognition of self-face after surgical repair of visible differences
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
18H04198
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
社 浩太郎 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (10303976)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己顔認知 / 顎変形症 / 身体図式 / 身体像 / 身体化認知 / 身体保持感 / 運動主体感 / 外科的矯正治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
対照群として、顔に可視的変形を認めない成人女性20名を、実験群としては、下顎が前方あるいは側方に偏位していることを主訴として大阪大学歯学部附属病院に来院した成人女性を選択した。手術前群として、治療を行っている患者群12名を、手術後群として、顎切除術後に矯正治療を終了した群18名を選択した。術後群は、術後200日-400日群;400日-600日群および600日以上経過した群に分けて5群を比較対象とした。 各被験者の実験前に撮影した正面の自己鏡面像と、他者顔画像としては日本人成人女性の平均顔の白黒の画像データを用い、各被験者の顔と平均顔の間で、画像の解像度、明るさ、コントラストを一致させた後に、モーフイング技術にて他者顔画像の平均像から被験者の自己像へ視覚刺激強度として自己成分30%、50%および 70%の3段階の画像を作成した。画像をランダムに提示し、「自己顔の成分が優位であるか劣位であるか」という2肢強制選択課題を行わせ、自己顔成分が優位と回答した確率を求めた。 自己顔成分50%、70%画像提示時に、術後早期では自己含有成分が優位であるであると判定した確率が対照群より低かった。術後多く日数を経過した群であるほど判定確率が有意に大きかった(漸近有意確率0.02;Kruskal Wallis 検定)。本結果は、術後早期には低下していた自己顔に対する感受性のレベルが、術後約2-3年かけて増加し、健常者以上に高い感受性にて自己顔を覚知するようになるという自己顔の再認知過程が存在することを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的実験結果として、以下の被験者を選択して当初より予測していた結果を得た。すなわち、手術前群として、治療を行っている患者群12名を、手術後群として、顎切除術後に矯正治療を終了した群18名を選択した。術後群は、術後200日-400日群;400日-600日群および600日以上経過した群に分けて5群を比較対象として、各被験者の実験前に撮影した正面の自己鏡面像と、他者顔画像としては日本人成人女性の平均顔の白黒の画像データを用い、各被験者の顔と平均顔の間で、画像の解像度、明るさ、コントラストを一致させた後に、モーフイング技術にて他者顔画像の平均像から被験者の自己像へ視覚刺激強度として自己成分30%、50%および 70%の3段階の画像を作成した。画像をランダムに提示し、「自己顔の成分が優位であるか劣位であるか」という2肢強制選択課題を行わせ、自己顔成分が優位と回答した確率を求めた結果、自己顔成分50%、70%画像提示時に、術後早期では自己含有成分が優位であるであると判定した確率が対照群より低かった。術後多く日数を経過した群であるほど判定確率が有意に大きかった(漸近有意確率0.02;Kruskal Wallis 検定)。本結果は、術後早期には低下していた自己顔に対する感受性のレベルが、術後約2-3年かけて増加し、健常者以上に高い感受性にて自己顔を覚知するようになるという自己顔の再認知過程が存在することを示唆した。以上より、この方法にてさらにサンプル数を増やしていくことに意義があることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、顔の運動主体感についても以下のような方法で心理行動学的実験を行い、術後の自己身体意識の変容過程とその脳内表現を明らかにしてゆくことに意義がある。 [方法] 上下の口唇を任意に動かせるタスクを行わせて、運動をビデオ撮影する。動画像の変換ソフトにて、画像を編集し、マーカーのみの運動を抽出した動画を視覚刺激として、リアルタイムに、また遅延時間を段階的に設けて被験者に見せる。画像の変換は、動画像を歪ませない、動画を歪ませ、右に30°毎に回転させる。被験者には①見ている運動は被験者の運動である。②見ている運動は被験者の運動が歪められた運動である。③見ている運動は被験者の運動ではない、の三者択一の判断を行わせる。反応時間と、被験者の判断に誤りがある確率について検討し、反応時間が長く、誤りの確率が大きいほど運動主体感が弱いと判断する。 [予想される結果と考察] 動画呈示の歪よりも遅延時間が運動主体感を有意に減弱させた。術後多く日数を経過した群であるほど運動主体感が有意に大きい。術後の顔の運動主体感は2-3年かけて増加し、定常化する。
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