2018 Fiscal Year Annual Research Report
美しい/かわいい/不気味:顔情報変異の布置を用い たヒト普遍性/文化間変異の検討
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
18H04200
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋弥 和秀 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (20324593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | かわいさ / 不気味な谷 / 顔 / 進化 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、顔刺激(形態)が持つ「美しさ」「かわいさ」 そして「不気味さ」という属性に着目し、これらの印象を喚起する顔刺激特徴の関係について、合成顔をもちいた実験によって検討している。従来別個の問題として扱われてきたこれら「美しい」「かわいい」「不気味」という反応の相互関係を、顔というプラットフォーム上に付置し統合することを目指す。 本年度の成果は以下のようにまとめられる。「かわいさ」の要因のひとつとなる「自他顔の類似性」に関してモーフィング技術をもちいた実証的な検討を行い、乳児期における、視覚-運動協応とは独立した顔表象レベルでの自己顔認知をあきらかにし、その成果を論文をまとめ投稿した(Nitta & Hashiya,submitting)。また、同じくモーフィング技術を用いつつ、自他類似の延長として乳児期における自発的な「表情の同期」現象を検討しあきらかにし、英語学術論文として公刊した(Hashiya, etal.,2019)。さらに、「かわいい」概念が文化的に拡張される現象を多角的に検討し今後の展開を議論するために、日本発達心理学会(早稲田大学)においてラウンドテーブルを共同でオーガナイズし、発達心理学・霊長類学・社会学・人類学・保育学等の研究知見を統合し有機的な議論を展開することで、「かわいい」概念を、生物学的な視点と、トランスカルチュラルな文化的視点とを融合したスキーマから展望する新たな研究視野を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究技術はほぼ確立し、成果の公表も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
生物学的背景 として想定される「配偶者選択」「養育」「生物学的同種集団維持」に顔情報の微細なベクトルがど のように寄与するかを統合的に解明し包括的な展望を提示するために、文化比較・発達研究を視野に入れ研究を進める。
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