2018 Fiscal Year Annual Research Report
個体関係認知の神経基盤とそのトランスカルチャー比較
Publicly Offered Research
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
18H04201
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
岡本 正博 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90548976)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対人認知 / 人物知識 / 自然言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,他者の言動からその人の性格や人となりを推し量ることがある.これは,他者の行為や性格特性に関して,何らかの知識構造があることを示唆する.しかしながら,他者の認知に関する研究の多くは他者の性格の認知にのみ限られており,行動と性格の認知との関係は明らかになっていない.本研究では,両者の間の関係を明らかにするため,アンケート調査と心理実験を行った.アンケートでは,参加者は「親しみやすいですか?近づき難いですか?」などの20対の形容詞対にもとづいて身近な人物を7段階で評価した.また,各項目について,その評価の理由となるようなエピソードの記述を求めた.印象評定の結果,「個人的親しみやすさ」「社会的好ましさ」「活動性」という3つの軸で他者の性格を評価していることがわかった.また,各評価軸に特徴的な動作表現(動詞およびサ変名詞)を抽出した結果,「個人的親しみやすさ」には「話す」「聞く」などの動作表現がみられた.また「社会的好ましさ」には「考える」「仕事する」などがみられた.「活動性」には「飲む」「参加する」などがみられた.これらの結果は,特定の人物評価に特定の動作の知覚が関係していることを示唆する.心理実験では,「〇〇する人は親しみやすいですか?近づき難いですか?」のように,抽出された動作表現を用いて他者の印象評定を行った.その結果,特定の動作表現が「個人的親しみやすさ」「活動性」の2つの評価軸に影響を及ぼすことが明らかになった. また,他者に関する知識が脳の中でどのように表現されているかを明らかにするため,予備実験として,被験者が上記の心理実験課題を遂行している際中の脳活動を機能的MRIによって計測した.その結果,一部の被験者において,前頭葉の脳活動の賦活が見られたが,全被験者(3名)に共通して賦活する領域は見つけられなかった.次年度はこの結果をもとに本実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の計画は,①人物知識の抽出と,②人物知識に関連する脳内活動の解明であった.このうち①については達成され,②については数名の被験者による予備的な実験段階である.①に関しては,アンケートの予備調査を行い,アンケート項目を選定したうえで,インターネットを介した大規模な調査を実施した.その結果をもとに,他者の行為と性格特性の認知との関係を調べた.②に関しては,①の解析結果をうけて,課題を作成し,予備実験を行って,三名の被験者で課題遂行中の活動を記録した.三名の被験者に共通する活動部位は見つけられなかったものの,この予備実験で,本実験と同等の実験システムを立ち上げることが出来た.現在は,本実験で必要な被験者人数の算定するために,予備実験の被験者数をさらに増やしている最中である.また,より強い脳活動を賦活するべく課題の最適化を進めているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず,脳活動計測の本実験に注力する.予備実験の被験者を10名規模に増やして,本実験に必要な被験者数を算出する.本実験では,他者の行動から性格特性を判断するときに活動する脳領域を特定する.その後,特定された脳領域でどのような情報が表現されているのかを検討する.さらに,特定の性格特性から他者の行動を予測する際の脳活動も計測し,行動から性格を判断する際の活動と比較する.これらの結果を踏まえた上で,北米でも同様の調査を行い,米語を母国語とする文化と比較し,人物に関する知識構造の文化差を検討する.
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] The motor network reduces multisensory illusory perception2018
Author(s)
Takenobu Murakami, Mitsunari Abe, Winnugroho Wiratman, Juri Fujiwara, Masahiro Okamoto, Tomomi Mizuochi-Endo, Toshiki Iwabuchi, Michiru Makuuchi, Akira Yamashita, Amanda Tiksnadi, Fang-Yu Chang, Hitoshi Kubo, Nozomu Matsuda, Shunsuke Kobayashi, Satoshi Eifuku, Yoshikazu Ugawa
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Journal Title
Journal of Neuroscience
Volume: 38
Pages: 9679-9688
DOI
Peer Reviewed
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