2018 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習を用いた多体系トポロジカル相の探求
Publicly Offered Research
Project Area | Frontiers of materials science spun from topology |
Project/Area Number |
18H04220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤城 裕 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20739437)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トポロジカル相 / トポロジカル不変量 / 指数定理 / 機械学習 / ボルツマン機械 |
Outline of Annual Research Achievements |
教師なし学習の一手法であるオートエンコーダ(自己符号化器)を用いて、様々な量子スピン鎖の量子相を判定した。オートエンコーダでは砂時計型ニューラルネットワークを用いるが、入力データがどういった相のものであるかという情報は与えず、出力データが入力データに近づくようにニューラルネットワークを学習させる。すると、中間層から入力データの特徴量が直接抽出できる。とりわけこの手法を、AKLT Hamiltonianとlarge-D相を与えるHamiltonianを1パラメタでつないだ模型に対し適用したところ、symmetry-protected topological相であるHaldane相とtrivial相であるlarge-D相のデータ間に分離が見られ、トポロジカル相転移の検出に成功した。また、局所的な秩序変数では特徴付けられない両相だが、入力データとして4サイト程度までの相関関数を用いており、理論物理学的な観点からも興味深い結果である。 本年度は他には、バイナリ変数に関するボルツマン因子の代数変形によって、任意の一般化イジング模型と等価なボルツマン機械(ニューラルネットワークの一つの形態)を構築することが可能であることを示した。すなわち、補助的なイジング自由度を適切に導入すると、二体相互作用のみを用いて元の多体相互作用を表現できることを、具体的な構成法とともに示した。さらにこの変換をモンテカルロ・シミュレーションに応用し、その計算効率を議論した。特に、二体相互作用および三体相互作用を含むカゴメ格子上の模型において、強磁性-常磁性相転移近傍における臨界減衰を大幅に緩和できることを数値的に示し、モンテカルロ法の高速化(大域的更新法)を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にはなかった内容ではあるが、本研究課題の目標である深い知識を必要としない多体系トポロジカル相判定器の研究について着実に成果が得られているため。また、上記「研究実績の概要」だけに留まらず、トポロジーに関連した新しいトピックについても重要な研究成果(マグノンスピンホール系におけるZ2トポロジカル不変量など)が得られているため。また、これらの成果に関して、学術論文にて発表するだけでなく、国内外の学会や会議等で成果発表を行い、そこでの様々な研究者との積極的な議論を通じて、今後の新たな進展への指針にもつながっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の順調な研究の進捗状況をふまえて、予定通り2019年度の研究計画を遂行する。また、今年度研究計画に無かった成果を挙げることが出来たため、それらの問題についても深化・発展を図る。
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Remarks |
https://sites.google.com/site/yutakaakagiacademian/
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Research Products
(23 results)