2018 Fiscal Year Annual Research Report
Stability and control of topological nature of quasiparticles emerging in quantum spin liquids
Publicly Offered Research
Project Area | Frontiers of materials science spun from topology |
Project/Area Number |
18H04223
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
那須 譲治 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40610639)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子スピン液体 / トポロジカル物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量子スピン液体の持つトポロジカル特性によって創発する準粒子励起に対する外因的効果を明らかにし、それに基づき準粒子の制御方法の理論提案を行うことである。これまで強相関効果で現れる準粒子励起を取り扱うことは理論的に非常に難しかったが、本研究では厳密に解くことができるキタエフスピン液体を基盤とすることでその問題を打開する。今年度では特に、分数化された素励起の外場による制御に対する理論提案を行うことを目的に、キタエフ量子スピン液体に対する磁場効果を明らかにすることを目的に研究を行った。この目的を達成するため、本研究では、マヨラナ準粒子描像に基づいた平均場近似法を適用し、磁場依存性を詳しく調べた。その計算方法の妥当性を調べるため、厳密対角化法やスピン波近似などを用いて、マヨラナ準粒子描像に基づいた平均場近似法で得られた結果との比較を行った。マヨラナ準粒子描像に基づいた平均場近似法を用いて、キタエフ量子スピンの磁場依存性を調べた結果、磁場によって、キタエフ量子スピン液体のもつマヨラナ準粒子バンドがトポロジカルに非自明な変化を示すことが明らかとなった。この変化は、熱ホール伝導度の符号の変化として観測可能であると考えられる。本研究成果は、アメリカ物理学会の英文誌Physical Review B: Rapid Communicationsに掲載されている。今後は、不純物の導入や、転位の導入、磁場の時間変化などを計算することで、マヨラナ準粒子バンドがどのように変調を受けるかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子スピン液体に内在した分数化された素励起の外場による制御方法の提案を行うことが本研究の目標であるが、今年度の研究により、その土台として、磁場によるキタエフ量子スピン液体の影響をマヨラナ準粒子描像に基づいた平均場近似法を用いることで明らかにすることができた。この研究成果は論文として出版されており、研究の進捗としては、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では、外場として、静磁場に注目し、キタエフ量子スピン液体に対する磁場効果を明らかにしてきた。また、その解析を行うためにマヨラナ準粒子描像に基づいた平均場近似法を導入し、計算を行ってきた。今後は、この方法を援用することで、不純物や転位の存在など空間的に非一様な場合の計算や、磁場以外の光や電場、圧力などの影響を調べていく予定である。
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Research Products
(14 results)