2018 Fiscal Year Annual Research Report
First-principles study of electronic structure topology and macroscopic phenomena in antiferromagnets
Publicly Offered Research
Project Area | Frontiers of materials science spun from topology |
Project/Area Number |
18H04230
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 通人 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10596547)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 反強磁性体 / トポロジー / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、申請者らが開発した種々の第一原理計算ツールと磁気対称性の解析手法を活用することで、反強磁性体の電子構造トポロジーを系統的に研究し、新奇なトポロジー相の発見を目指すとともに、磁気秩序の持つ対称性・トポロジー・マクロ物性をつなぐ関係性に関する新しい知見の獲得を目指した研究を実施する。 平成30年度は、マクロな磁化がほぼないにも関わらず巨大な異常ホール効果が実験的に観測されたことで大きな注目を集めているMn3Z(Z: Sn, Ge)や異常ホール効果を発現する反強磁性秩序が期待されるアンチペロブスカイト化合物Mn3ANを対象として、第一原理計算によって異常ホール効果に寄与するトポロジー構造の解析を行っている。アンチペロブスカイト化合物では、実験的に磁気秩序を伴う基底状態の詳細が完全にはわかっていないが、第一原理計算による安定な磁気秩序相の評価によって、いくつかの元素組成において、異常ホール効果を発現する反強磁性構造が安定になることを明らかにしている。また、第一原理計算に基づくトポロジー構造の詳細な解析によって、これらの反強磁性金属における異常ホール効果が、波数空間で広がった領域にあるベリー曲率による寄与が支配的であることなどを明らかにし、それらを誘起する相互作用などに関する知見など、反強磁性金属における巨大異常ホール効果の発現機構に関する有益な情報を得ることができた。 これらの研究を通して、マクロ物性とトポロジー効果の相間を調べる上で有用なトポロジー解析プログラムの整備に取り組んでおり、次年度以降の研究への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究を通して異常ホール効果を発現する反強磁性体を対象として第一原理計算に基づくトポロジー解析を実施し、異常ホール効果の増強機構について有意義な知見を得ることができた。これらの研究を通して整備された反強磁性体の系統的なトポロジー解析手法を使用することで、次年度以降の反強磁性体に対する系統的なマクロ物性の解析の研究へと移行することができ、研究の進捗状況はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究を通して整備された第一原理計算による磁性体のトポロジー解析ツールを適用し、研究代表者が構築を進めている第一原理計算による磁気構造データベースとの連携による反強磁性体の系統的な解析を実施する。これにより、磁性体におけるトポロジー構造とマクロ物性の相間関係を明らかにし、磁性体における巨大マクロ物性の発現機構について、有意義な知見の獲得を目指す。
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