2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Macrocyclic Catalysts by Connecting Catalytic Moieties to Saccharide Recognition Macrocycles and their use for Successive Derivatization of Oligosaccharides
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
18H04243
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井上 将彦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (60211752)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖認識 / 反応場 / ピリジン / アニリン / エナンチオ選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩基性条件でも安定な糖認識ホスト分子としてピリジン-アニリン交互型オリゴマーを設計・合成した。このオリゴマーと糖との会合能は,1,2-ジクロロエタン溶液中でのオクチルグルコピラノシドとの滴定実験により評価した。その結果,会合定数は約 300000 M-1 と見積もられ,糖と強力に会合することが分かった。続いて,このオリゴマーを用いて重クロロホルム溶液中への天然糖の固液抽出実験を行った。その結果,グルコース,ガラクトースはほとんど抽出されなかったのに対し,マンノース,フルクトースは抽出されることが明らかとなった。現在,このオリゴマーを用いて有機溶媒へ抽出した糖類のアシル化を検討している。 続いて,糖類のエナンチオ選択的な認識の達成を目指し,(S)-BINOLを 1 個導入した大環状分子と,4 個導入した大環状分子を新たに設計・合成した。これらの分子の内孔は,BINOL の軸不斉の影響でキラルにねじれており,包接する単糖の不斉を識別できると期待した。天然糖の固液抽出実験により,大環状分子のエナンチオ選択性を評価した。フルクトースの D-体と L-体 1:1 混合物を用いて,前者の大環状分子の 1,2-ジクロロエタン溶液中への固液抽出を試みたところ,D-体を選択的に抽出する結果が得られた。一方,そのエナンチオマーである大環状分子を用いた実験では, L-フルクトースが選択的に抽出され,大環状分子のエナンチオ選択性が裏付けられた。さらに後者の大環状分子を用いた固液抽出実験では,D-グルコース,D-マンノースに対してエナンチオ選択的に抽出できた。今後,このキラルな大環状分子に触媒部位を連結することで,糖のラセミ混合物の速度論的光学分割を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖の一般的な誘導化条件である塩基性条件でも安定な糖認識骨格の開発にすでに成功している。現在,この認識ユニットに触媒部位を連結した分子の合成に取り掛っている。また,キラルな糖認識ホストを糖のアシル化の反応場として利用した検討もすでに行っている。ホスト分子存在下でも糖の誘導化が行えることを明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した糖認識ホスト分子存在下での糖の誘導化反応を検討し,位置選択的な糖の誘導化を目指す。また,ピリジンーアニリン骨格の様々な位置に触媒部位を導入した分子も合成し,位置選択的な誘導化触媒を創製する。さらにジメチルアミノピリジン部位を大環状骨格に連結した触媒を合成し,糖鎖の効率的な連続誘導化を検討する。最後にピリジンーアニリン部位とジメチルアミノピリジン部位を大環状骨格に導入した触媒で,糖鎖の位置選択的かつ効率的な連続誘導化を達成する。
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