2018 Fiscal Year Annual Research Report
One-pot reactions for synthesis of non-standard peptides by controlling hydrogen-transfer fields
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
18H04247
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (90273268)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / アミド / アミノ酸 / カルボン酸 / アミン / フォスファゼン / ジボロン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,菅(東大)らによるFIT(Flexizyme)法の開発により非天然(環状)ペプチドの医薬としての潜在性が再発掘され,その大量供給法の必要性が格段に増しつつある.このような背景のもと、カルボン酸とアミンの脱水縮合によるアミドの合成は最も重要な有機合成反応の一つに分類される.なかでも「脱水」のみを伴う,ペプチド(アミド)基形成法は魅力的な方法である.しかしながら未だ発展型ボラン触媒を用いてでさえも,立体的に嵩高い基質同士の脱水的カップリングや,(高)官能基化されたオリゴペプチド同士の脱水的カップリングへの適用性に不明な点が残されている.今回我々は,アミド化が最も難しいカルボン酸の一つである芳香族カルボン酸とアミンとの脱水的アミド結合形成が,市販のジボラン触媒で効率よく進行することを見出した (Org. Lett. 2018).わずか1 mol %のジボラン化合物存在下,補完的な化学量論量の脱水剤を必要とせずに,空気中でのトルエン共沸蒸留のみでアミド化が効果的に進行する.そのため,アミド基の形成法として実用性が高い.この方法は,二種の異なるアミノ酸誘導体同士の反応によるジペプチド合成にも有効だが、いくつかの組みわせでは不斉炭素のラセミ化が起こった. この問題を解決するために,環状ホスファゼン骨格を基盤とする触媒の開発にも取り組み、ある特殊なP3N3L3 (L = 配位子)触媒が、二種の異なるアミノ酸誘導体同士の脱水的ジペプチド合成において高温反応(120-130度程度)にも関わらずラセミ化を伴わないことを見出した.現在、20種類の天然アミノ酸全てに適用可能かどうかを調査中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒的な脱水的アミド基形成反応が難しい芳香族カルボン酸類と様々な1級および2級アミンとの間のアミド化反応にL2B-BL2触媒を用いて成功した.まず,様々なL2B-BL2構造を触媒前駆体(1 mol%)として使用し,安息香酸とベンジルアミンとのアミド基形成反応を検討したところ, (Me2N)2B-B(Me2N)2もしくは(HO)2B-B(OH)2を用いた場合,これら基質間での脱水的アミド化反応が最も円滑に進行し,N-ベンジルベンズアミドをほぼ定量的に得た.本法は,それ以外の様々な電子供与性基および電子吸引性基をもつ芳香族カルボン酸とアミンとの脱水的アミド基形成にも有効である.芳香族カルボン酸だけではなく,脂肪族カルボン酸でも問題なくアミド基形成が進行し基質適用範囲も広い.比較的嵩高い芳香族カルボン酸や2級アミンを用いた場合にも反応は良好に進行した.また,1級アミンと2級アミンを分子内にもつジアミンを用いた場合,1級アミンが反応したアミド生成物が選択的に得られた.ただし,不斉炭素をもつC末端保護alpha-アミノ酸誘導体(アミン)と安息香酸を用いた場合,ラセミ化が若干進行する系も見られたことから,ボラン利用に基づく触媒の精密分子設計法に課題が残された. この問題を解決するために,環状ホスファゼン骨格を基盤とする触媒の開発にも取り組み、ある特殊なP3N3L3 (L = 配位子)触媒が、二種の異なるアミノ酸誘導体同士の脱水的ジペプチド合成において高温反応(120-130度程度)にも関わらずラセミ化を伴わないことを見出した.現在、20種類の天然アミノ酸全てに適用可能かどうかを調査中である.
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Strategy for Future Research Activity |
環状ホスファゼン骨格を基盤とする触媒P3N3L3 (L = 配位子)触媒が、二種の異なるアミノ酸誘導体同士の脱水的ジペプチド合成において高温反応(120-130度程度)にも関わらずラセミ化を伴わないことを初期的に見出した.今後は20種類の天然アミノ酸全てに適用可能かどうかを明らかにする.その後トリペプチドやテトラペプチド合成へと展開する. また同様のP3N3L3触媒を用いれば,ペプチド鎖のセリンもしくはスレオニン側鎖を利用して,脱水的な環化反応に基づくオキサゾリン合成が可能なことも見出している.今後はペプチド合成-オキサゾリン合成連続反応へと展開し,生理活性物質として発展させる.
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Research Products
(13 results)