2018 Fiscal Year Annual Research Report
fac型配位に構造制御されたルテニウム錯体を触媒に用いるエステル類の選択的水素化
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
18H04250
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (50169885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 触媒的水素化 / エステル |
Outline of Annual Research Achievements |
エステルは低水素化活性化合物の1つである.様々な触媒的水素化触媒が開発されているが,既存の触媒系は,活性の向上に主 眼を置いており,化学選択性の獲得は未踏である.医薬品等の有用物質の精密合成に適合する,エステルを識別する化学選択的 金属触媒の開発が次世代の課題として残る. これまでに申請者らは,独自に開発したsp3P/sp3NH/sp2N直線性3座配位子を用い ると,かさ高い置換基をもつケトン類を,その大きさを識別することで立体選択的にアルコールへと触媒的に水素化できることを見出した.この触媒系は官能基許容性が高く,tert-ブチル(メトキシカルボニル)ケトンもエナンチオ選択的に還元できる. この不斉水素化触媒は100 °C,100気圧を必要とするが低活性単純エステルも水素化できる.これらの結果を基盤に,プロキラルなα,α-2置換マロン酸ジエステルの不斉非対称化反応へと展開を目指した. 本年度は、反応性獲得への基盤として、キラル、アキラルに関わらず関連配位子の系統的合成を進めた。得られた配位子の錯体合成を検証したところ、これまでと同様に、DMSO存在下錯体を調整すると、単一の立体配置をもつfac型ルテニウム錯体が形成することがわかった。これら錯体ライブラリーを用いて、標準基質に対して水素化反応の条件検討を行った結果、予備的ではあるが本触媒の有効性を見いだすことに成功し、不斉反応への展開への足がかりを作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、配位子合成に関してはほぼ完了しており、反応性調査にむけた基盤を作ることができた。すでに反応探索も開始しており、予備的ながら触媒活性の獲得に至っている。概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,前年度にえられた反応性調査結果を元に,不斉非対称化反応に展開し,新しい第四級不斉炭素構築法を確立する.置換基効果と反応性、エナンチオ選択性との相関調査を第一とする。結果えられた情報から,触媒構造の最適化を進める 。これまでの情報から、CH/π や π/π 相互作用も考慮して,配位子のピリジン環の置換基効果を中心に、ホスフィンおよび ビナフチル骨格の構造最適化を進める。えられた生成物の絶対立体配置を定め,あらたな作業仮説のもとさらに触媒構造を精密化するとともに エナンチオ面選択機構に関する情報を蓄積する.反応条件の最適化、および基質一般性の調査を進め、反応確立後には,反応速度論実験, 度式 解析,分子軌道計算によって本反応の理解を深める.得られた生成物の構造滴特徴を利用して、生物活性物質などの有用物質合成へと展開する 。
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Research Products
(13 results)