2018 Fiscal Year Annual Research Report
カルボニル化合物の脱カルボニル化・脱炭酸反応によるフラグメントカップリング
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
18H04259
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳶巣 守 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60403143)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 触媒反応 / 脱炭酸 / C-O結合活性化 / C-H結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高難度分子変換として、単純カルボニル化合物の脱カルボニル化および脱炭酸反応の開発を目指している。いずれの変換反応も、環ひずみやアリル化合物など反応性の高い限定的な化合物でしか達成されておらず、単純なケトン、エステルを原料に用いる反応の開発を目標とする。原料の入手容易性から、これらの反応はクロスカップリングを補完する新しい炭素-炭素結合あるいは炭素-ヘテロ原子結合形成反応となり得る。これらの反応の実現には、炭素-炭素、及び炭素-酸素という不活性結合の活性化が鍵となるため、そのための基盤研究についても実施した。具体的には以下の3つの反応を開発した。 1.ニッケル触媒による芳香族カルバメートの脱炭酸アミノ化反応:芳香族カルバメートをNi(cod)2触媒と適切な二座ホスフィン配位子の存在下で160 °C、14 h反応させることで目的とする脱炭酸アミノ化体が得られることがわかった。配位子としては、A01班澤村G(北大)で開発されたポリスチレン担持型のPS-DPPBz配位子を用いた時に最も良い結果を与えた。特筆すべきことに、本反応ではフリーのアミン用いずにアミノ化が進行するため、ホルミル基を持つ基質にも適用可能である。 2.ニッケル触媒によるアニソール誘導体の還元的切断反応:ニッケル触媒によるアミノボランを還元剤として用いるメトキシ基の還元的切断反応を開発した。アニソールのC-O結合切断反応では、しばしば単環化合物の反応性の低さが問題となるが、本触媒条件ではそれらの低反応性の基質に対しても効率よく反応が進行する。 3.イリジウム触媒による酸フッ化物をアリール源とする脱カルボニル化型C-Hアリール化反応:ニッケル触媒とBrettPhos配位子の存在下、酸フッ化物とアレーンあるいはキノリンを反応させると脱カルボニル化を経てC-Hアリール化が進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単純なカルボニル化合物からの触媒的脱炭酸、脱カルボニル化反応として、カルバメートからのC-N結合形成反応を開発することができた。新学術領域研究の特質である共同研究により達成できた点が評価できる。さらに結合活性化に関する基盤研究も進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、他の単純カルボニル化合物の脱炭酸、脱カルボニル化反応を推進するとともに、共同研究を通じて反応機構解析を進める。
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