2018 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Bioinspired Catalysts with Specific Fields
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
18H04265
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久枝 良雄 九州大学, 工学研究院, 教授 (70150498)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体関連金属錯体 / 光増感剤 / バイオインスパイアード / 環状ピロール化合物 / 酸化還元反応 / フルオロアルキル化反応 / コバルト-炭素結合 / 有機金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンB12は生体内の様々な酵素反応に関与し、特にラジカル反応に対し高い耐性を持つ天然の有機金属錯体である。なかでも中心金属のコバルトと軸配位子のアルキル基とのコバルト-炭素結合(Co-C)の生成機構、およびそのホモリシス開裂により生じるアルキルラジカルの生成は、生物無機化学、有機金属化学、触媒化学の観点から興味の持たれるところである。今年度は、ビタミンB12誘導体のラジカル発生能を利用したフルオロアルキル化反応について検討した。具体的には、ビタミンB12誘導体を触媒として、電極表面を反応場とした触媒反応系の構築、および有機化合物へのトリフルオロメチル化、パーフルオロアルキル化反応への適用である。有機化合物へのフルオロアルキル基の導入は、医薬品、農薬品、機能性材料開発の観点から、近年注目を集めているトピックである。 これまでにも天然のビタミンB12の軸配位子としてトリフルオロメチル基を持つ有機金属錯体の単離、単結晶X線構造解析による構造決定は報告されていた。しかしこれらを用いた有機合成反応や触媒反応への応用は報告されていない。そこでまずビタミンB12誘導体の軸配位子としてトリフルオロメチル基を導入した有機金属錯体を調製した。次に、可視光照射によるホモリシス開裂とトリフルオロメチルラジカルの発生をESRラジカルトラッピング実験により確認した。次に、触媒反応に展開した。 1mol%のビタミンB12誘導体を触媒として用い、メタノールを媒体とし、種々のアレーン類のトリフルオロメチル化反応およびパーフルオロアルキル化反応を行った。このようにビタミンB12誘導体のラジカル触媒能を利用した電気化学的トリフルオロメチル化、パーフルオロアルキル化反応は、新しいタイプの触媒系であり、電子豊富なアレーン類のトリフルオロメチル化およびパーフルオロアルキル化反応が効率良く進行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気化学的手法により、ビタミンB12誘導体を活性化し、トリフルオロメチル化反応およびパーフルオロアルキル化反応に成功した。これは世界初の手法であり、新規触媒系として応用範囲も広いと言える。 本研究では、電気化学的活性化と光増感剤による活性化の2つの手法を通して、バイオインスパイアード触媒の開発を行っている。電気化学的手法の有効性が証明された点で、研究が順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光化学的活性化も実施する。すでに酸化チタンを光増感剤としたビタミンB12-酸化チタンのハイブリッド触媒反応系については、成功している。今後は、ルテニウムやイリジウム錯体を光増感剤とした反応系を開発する予定である。 また、ビタミンB12誘導体ではなく、単純なモデル錯体(コバルト錯体)を用いたバイオインスパイアード触媒の開発も実施する。
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Research Products
(17 results)