2018 Fiscal Year Annual Research Report
面不斉ハーフメタロセン錯体を基盤とする精密キラル反応場の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
18H04269
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40316021)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 面不斉 / ハーフメタロセン / 配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハーフメタロセン配位子ライブラリーの構築を目指し、すでに合成したCpMn錯体を基盤とするホスフィンーオレフィン配位子に加えて、CpRe錯体を基盤とするホスフィン‐オレフィン配位子の開発を行った。レニウムはマンガンよりも原子半径が大きく、また電気陰性度も異なることから、ハーフメタロセンの中心金属をマンガンからレニウムに変えたことによる配位子構造や電子的な影響の変化に興味が持たれる。そこで、CpMn錯体配位子を合成した際の経路に従って、面不斉CpRe錯体を基盤とするホスフィン‐オレフィン配位子を合成した。得られたレニウム配位子の構造の詳細を明らかにするため、単結晶X線構造解析を行った。レニウム配位子における、Cp環中心とRe原子との距離は1.946オングストロームであり、Re原子とP原子との距離は2.3257オングストロームであった。また、リン原子と中心金属とCp環中心がなす角度は、レニウム配位子で118.90オングストロームとなった。これらをマンガン配位子の構造を比較すると、Cp環中心とRe原子との距離レニウムの原子半径が大きくなったことより、マンガン配位子より10%も結合長が増大した。また、Re原子とP原子との距離は2.3257オングストロームであり、マンガン配位子のそれ(2.209オングストローム)より大きな値となった。さらにレニウム配位子と遷移金属との配位構造の詳細を調べるために、レニウム配位子とRhとの錯体との単結晶を作製し、X線構造解析を行った。ハーフメタロセン配位子におけるリン原子とロジウム、オレフィンの中点とから成る鋏角を比較すると、レニウム配位子の場合は91.97 °と、マンガン配位子よりもさらに大きな値となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、今年度は予定していた研究計画に掲げていた配位子ライブラリーの拡大を達成することができた。さらに、新たに合成した配位子のX線結晶解析にも成功し、詳細な構造情報を得ることにも成功した。以上の点を鑑み、本研究課題は概ね順調に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに得られた配位子を活用した不斉反応の検討もすでに行っており、マンガン配位子とレニウム配位子とで異なる反応性を示すかどうか、レニウム配位子でさらに反応性、選択性が向上する例があるかどうかについて今後検討を行う。さらに、開発した配位子を活用して、面不斉フェロセン誘導体の触媒的不斉合成も併せて取り組むことを予定している。
|