2018 Fiscal Year Annual Research Report
Precise Formation of Catalysts Having Specified Fields through Fixation of Metal Complexes in Biological Molecules
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
18H04274
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
人見 穣 同志社大学, 理工学部, 教授 (20335186)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄 / 人工酵素 / 酸化反応 / 不斉酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中においても安定なカルボキサミドの鉄イオンへの配位に着目し、過酸化水素を酸化剤として選択的にアルカンを酸化する単核非ヘム鉄錯体Fe(dpaq)を開発してきた。Fe(dpaq)は金属酵素の機能の一部を再現するが、反応速度、基質特異性の面で天然酵素に及ばない。そのため、この錯体触媒をもとに高性能な人工酵素の創製を目指した。Fe(dpaq)錯体はヒト血清アルブミンの薬物結合サイトに強く結合する。種々の条件において酸化触媒能を検討した結果、Fe(dpaq)アルブミン複合体は過酸化水素を酸化剤としてプラスミドDNAを効率よく切断することを発見した。この結果は、Fe(dpaq)は蛋白質内部においても酸化触媒活性を発現できることを実証するものである。この結果をもとに、アルブミンの疎水ポケットに結合した鉄アミド錯体による不斉スルホキシド化を検討した。触媒回転数は、アセトフェノンを内部基準としGC分析により行い、不斉選択性はキラルカラムによるHPLC分析により行った。用いた鉄アミド錯体は、有機溶媒中で過酸化水素を用いた優れた選択アルカン酸化触媒となることが判明しているFe(dpaq)、水中で過酸化水素による一電子酸化反応活性(ペルオキシダーゼ活性)を示すことが判明している窒素4座カルボキシルアミド鉄錯体Fe(mpaq)、さらに、L-プロリンを出発原料とする窒素4座カルボキシルアミド鉄錯体Fe(Propaq)である。Fe(dpaq)は不斉を持たず、Fe(mpaq)はラセミ体として存在するが、Fe(Propaq)は不斉錯体である。不斉鉄錯体を用いた先行研究の反応条件に従い、触媒反応を評価した結果、錯体のみでは触媒回転数も低く、不斉選択性が観測されないが、アルブミン存在下では、触媒回転数が向上すること(Fe(dpaq)では10倍以上)、不斉選択性も僅かであるが観測されることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質の疎水的空孔内で鉄錯体触媒による酸化反応を達成できた。また、その不斉選択性の評価方法も確立できた。今後の共有結合型人工酵素の設計に指針を与える研究成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
蛋白質疎水ポケット内で高い不斉選択性が発現するために、共有結合を用いて蛋白質のシステインのチオール残基に修飾可能なマレイミド基を有する新規配位子の合成を行い、カルボキサミド鉄錯体を蛋白質疎水空孔に揺るぎなく固定し、精密な触媒設計を行う。
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