2018 Fiscal Year Annual Research Report
Characteristic Electronic states in Cubic Compounds
Publicly Offered Research
Project Area | J-Physics: Physics of conductive multipole systems |
Project/Area Number |
18H04329
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大貫 惇睦 琉球大学, 理学部, 客員教授 (40118659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 立方晶化合物 / ドハース・ファンアルフェン効果 / フェルミ面 / 結晶反転対称性の破れ / スキルミオン |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍石型化合物 AuAl2,AuGa2,AuIn2 の順良単結晶をブリッジマン法で育成し,dHvA 効果の実験を行った。実験結果は J-Physics の代表者の播磨尚朝氏のバンド 計算結果と 90% 以上一致していたが,小さなフェルミ面に差異があった。 次にパイライト型化合物に関しては,J-Physics メンバーの松田達磨氏との共同研究で CuS2 と CuSe2 の高温高圧下での単結晶育成にチャレンジした。両化合物 とも良質な単結晶で,残留抵抗比 RRR = 100 であった。フェルミ面の性質が明らかになった。 更にウルマナイト NiSbS と荷電子数が同じパイライト型の AuSb2 の純良単結晶育成にも成功した。AuSb2 のフェルミは NiSbS のフェルミ面に良く似ていて, NiSbS では結晶反転対称性の破れを反映して,4種類のそれぞれのフェルミ面が2つに分裂していることが明らかにされた。 ウルマナイト型化合物では,前述の NiSbS 以外に反強磁性体 EuPtSi の純良単結晶育成に成功し,J-Physics メンバーの榊原俊郎氏の協力の下で磁気的性質が明らかにされつつある。カイラル構造に基づくスピンフラストレーションを反映して,ネール点は 4.05 K と低く,しかも1次に近い相転移であった。更に興味深いことには,反強磁性相の中に閉じた磁気相が存在することを見出し,同じ結晶構造でスカーミオンとして知られる MnSi に因んで,A相と名付けた。この A相で磁化に関係な異常ホール抵抗以外の新たなホール抵抗が見出された。現在 A相を明らかにすべく J-Physics メンバーの協力の下,中性子散乱,共鳴X線散乱,NMR 等の実験が行われ,その論文の刊行,提出が進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
様々な立方晶の化合物で,ドハース・ファンアルフェン効果の実験とバンド計算から電子状態の研究が進展した。中でも EuPtSi の純良単結晶を基に,現在進展している研究は特筆すべき成果である。遷移金属化合物の MnSi 等で発見された磁気スキルミオンが希土類化合物の EuPtSi の 4f 電子系でも発見されたのは EuPtSi が始めてのことである。ホール抵抗測定で申請者が磁気スキルミオンの存在を示唆したが,磁気スキルミオンに特徴的な六角形の中性子散乱パターンが検出された。ただし,そのサイズは MnSi の 180 オングストロームに比べて1桁小さく 18 オングストームであった。この成果は 2019 年の J. Phys. Soc. Jpn. の1月号に掲載され,Editors 'Choiceに選ばれた。 また,2019年2月18日付けの科学新聞にその内容が掲載された。2019 年春季日本物理学会(九州大学)ではシンポジュウムが持たれ,申請者,中性子散乱実験の金子耕士さん、共鳴X線散乱実験の田端千紘さんが EuPtSi に関して特別講演を行なった。更に,本年秋に開催される Strongly Correlated Electron Systems(SCES) の国際会議(岡山)及び,そのサテライト会議(神戸)で申請者や上記の方々が招待講演をすることになっている。EuPtSi では純良な単結晶が育成されたので,ドハース・ファンアルフェン振動が検出され,キラル構造を反映したフェルミ面の分裂が明らかにされ,その研究内容は J.Phys. Soc. Jpn. に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
EuPtSi の研究はいろいろな研究グループから注目され,μSR の実験,超音波吸収の共同研究のための単結晶育成を進める。また,EuPtSi と類似化合物の EuPtGe でも単結晶は小さいが育成されたので,研究を進める。更に,EuIrP も同じ結晶構造なので,単結晶育成を試みたい。 磁気スキルミオンが 4f 電子系では始めて EuPtSi で見出されたので,Eu 以外の他の希土類化合物へと発展できないか物質開発を進めたい。まずは六方晶化合物で結晶反転対称性の破れた HoAgGe,DyAgGe 等でも研究を進めたい。
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[Presentation] 反強磁性体TbGa2とHoAlGaの磁気抵抗とホール抵抗2019
Author(s)
仲井間憲李, 伊覇航, 垣花将司, 仲村愛, 青木大, 中島美帆, 天児寧, 竹内徹也, 辺土正人, 仲間隆男, 大貫惇睦
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会
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[Presentation] カイラル磁性体EuPtSiのEu-151メスバウアー分光 (II)2019
Author(s)
本間佳哉, 垣花将司, 徳永陽, 與儀護, 中島美帆, 仲村愛, 清水悠晴, 李徳新, Arvind Maurya, 佐藤芳樹, 本多史憲, 青木大, 天児寧, 辺土正人, 仲間隆男, 大貫惇睦
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会
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[Presentation] カイラル反強磁性体EuPtSiの低温物性2019
Author(s)
竹内徹也, 垣花将司, 太田譲二, 青木大, 仲村愛, 本多史憲, 中島美帆, 天児寧, 播磨尚朝, 辺土正人, 仲間隆男, 大貫惇睦
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会
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[Presentation] EuPtSiのNMRによる研究II2019
Author(s)
比嘉野乃花, 與儀護, 徳永陽, 服部泰佑, 酒井宏典, 神戸振作, 中島美帆, 本間佳哉, 仲村愛, 清水悠晴, 本多史憲, 青木大, 垣花将司, 辺土正人, 仲間隆男, 大貫惇睦
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会
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[Presentation] キラル反強磁性体EuPtSiの中性子散乱2019
Author(s)
金子耕士, Matthias D Frontzek, 松田雅昌, 中尾朗子, 宗像孝司, 大原高志, 垣花将司, 芳賀芳範, 辺土正人, 仲間隆男, 大貫惇睦
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会
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[Presentation] EuT2Ge2とEuT2Si2(T:遷移金属)の特異な電子状態II2018
Author(s)
大貫惇睦, 伊覇航, 松田進弥, 垣花将司, 安次富洋介, 竹内徹也, 本多史憲, 仲村愛, 青木大, 中島美帆, 天児寧, 芳賀芳範, 郷地順, 上床美也, 辺土正人, 仲間隆男
Organizer
日本物理学会2018年秋季大会
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