2018 Fiscal Year Annual Research Report
大規模シミュレーションと次世代超広視野分光観測で解き明かすダークマターの正体
Publicly Offered Research
Project Area | Why does the Universe accelerate? - Exhaustive study and challenge for the future - |
Project/Area Number |
18H04337
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石山 智明 千葉大学, 統合情報センター, 准教授 (90616426)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ダークマター / シミュレーション / 銀河 / 矮小銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、様々なダークマターモデルを採用した大規模な宇宙論的N体シミュレーションと準解析的手法を用いて、銀河ハローにおけるサブハローの数、空間分布、内部構造、運動を定量化する。そしてそれらを、すばる望遠鏡のHSC やPFS をはじめとした将来の矮小銀河の観測と詳細に比較し、ダークマターモデルを制限する。 2018年度は、暖かいダークマターモデルを採用した高分解能宇宙論的N体シミュレーションの解析を進めた。シミュレーションは一辺 8Mpc/h 共動距離の立方体内に、ダークマター質量解像度4e4Msun/hを実現している。暖かいダークマター素粒子の質量は3eVと5keVの2モデルを採用した。 銀河サイズのダークマターハロー内に存在する低輝度矮小楕円体銀河サイズのサブハローの中心密度が、ダークマターが冷たいモデルよりも暖かいモデルにおいて優位に小さいことを見出した。違いは最大回転速度が20km/sより小さいサブハローで特に顕著である。また暖かいダークマター素粒子の質量が小さいほど、冷たいモデルより中心密度がより小さくなる。一方、ホストハローによる差異が確認され、大ボリュームのシミュレーションを行い、統計的精度を上げることが重要である。さらに2019年度に行う予定の、ダークマター自己相互作用を考慮したシミュレーションの準備を進めた。自己相互作用をシミュレーションコードに組み込み、孤立したハローにおけるシミュレーションに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
暖かいダークマターモデルを採用した高分解能シミュレーションの解析が進むとともに、もう一つの主要なダークマターモデルである、自己相互作用するダークマターのシミュレーションの準備が進み、2019年度中に大規模シミュレーションが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションを一辺 16Mpc/h に拡張し、銀河ハローにおけるサブハローの数、空間分布、内部構造、運動をより精度よく定量化する。また暖かいダークマターモデルだけでなく、自己相互作用するダークマターモデルを採用した宇宙論的シミュレーションを行い、モデルによるサブハローの分布の違いを定量化する。 準解析的モデルを用いて、シミュレーションでは考慮していないバリオンの効果を評価する。ハローの中でのガスの冷却、超新星爆発や再電離加熱、星形成などをモデル化し星質量を見積もり、特定の粒子にタグを付けて恒星成分の空間分布を定量的に見積もる。そして銀河系外縁部の恒星ハロー集積過程やストリーム構造の、ダークマターモデルによる違いを検証する。
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