2018 Fiscal Year Annual Research Report
Probing dark energy using redshifted 21 cm line observations
Publicly Offered Research
Project Area | Why does the Universe accelerate? - Exhaustive study and challenge for the future - |
Project/Area Number |
18H04339
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関口 豊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (30584750)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 加速宇宙 / 赤方偏移21cm線 / インフレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ミニハローからの赤方偏移21cm線のパワースペクトルを用いて宇宙論パラメータを制限する手法を構築した。ミニハローは宇宙の構造形成で作られる暗黒物質ハローのうち、星形成が活性化されない軽いもののことである。ミニハロー内部の中性水素は宇宙再イオン化の後期まで中性で保たれるため、その時期の主な赤方偏移21cm線源と期待される。我々は与えられた宇宙論パラメータの元でミニハロー起源の赤方偏移21cm線のパワースペクトルを計算する手法、およびパワースペクトルを用いてフィッシャー行列解析に基づき宇宙論パラメータへの制限を見積もる手法を構築した。 その上で、応用として初期揺らぎの非ガウス性に対する制限の見積もりを行なった。初期揺らぎの非ガウス性は宇宙初期に起こった加速膨張であるインフレーション期において、複数の軽い自由度があったことを示す重要な観測量である。我々は、特に局所非ガウス性と呼ばれるタイプについてミニハロー起源の赤方偏移21cm線への影響を理論的に求めた。局所非ガウス性はミニハローのようなバイアスされた構造のパワースペクトルを、大スケールで増幅する効果が主な影響である。得られたパワースペクトルに基づき局所非ガウス性に対するSquare Kilometer Arrayなど将来の赤方偏移21cm線観測が与える制限を見積もり、現行の宇宙マイクロ波背景放射を凌駕する制限が得られること、更に初期揺らぎの期限が単一であるかどうかを区別する須山-山口不等式が有意義な精度で検証可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミニハローからの赤方偏移21cm線のパワースペクトルを計算する手法とそれに基づき宇宙論パラメータへの制限をフィッシャー行列解析により制限するコードを開発し、その初期宇宙モデルへの適用をおこなった。また、赤方偏移21cm線だけでなく、宇宙マイクロ波背景放射といった他の宇宙論観測との組み合わせた解析を可能にしている。加えて、現在暗黒エネルギーへの適用も簡単なモデルで完了している。以上より順調な経過であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、暗黒エネルギーの代表的な理論モデルを整理し、それらが予言する状態方程式や音速の時間変化を包括するようなパラメータ化を構築する。その上で、パラメータ化した状態方程式と音速の元でミニハロー起源の赤方偏移21cm線のパワースペクトルを計算し、これまで構築したパラメータへの制限をフィッシャー行列解析のコードに組み込み、Square Kilometer Arrayなどの将来観測で期待できる制限の評価する。更に、銀河サーベイや宇宙背景放射などの他の宇宙論観測を組み合わせた解析を行い、シナジーを検証する。最終的に、効率的に理論モデルを制限するために、どのような時期・スケールを重点的に観測するのが良いか、観測への提言を行う。
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