2018 Fiscal Year Annual Research Report
特定の立体構造を有する生物活性中分子の汎用創製手法の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
18H04382
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 佑樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70570604)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ペプチド / 中分子 / 環状ペプチド / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
中分子化合物を医薬品や研究ツールとして活用する試みが近年盛んに行われている。既存の生物活性中分子開発戦略の多くは、スクリーニングで発見した天然物や人工中分子を親化合物とし、より良い活性を示すものに『改良』していくものが中心であった。一方で本研究では、広い作用面を介して標的と相互作用できる中分子大規模ライブラリーの試験管内分子進化法の活用により、任意の生物活性を有する中分子化合物をテーラーメイドに『創製』する新技術の確立を目標とする。具体的には、改変翻訳系を用いた遺伝暗号のリプログラミング技術を活用することで、非タンパク質性アミノ酸ブロックを含む環状ペプチドを翻訳合成を達成する。これにより、特定の二次構造をもつようにデザインされた生物活性ペプチド中分子を創製することを最終目標として掲げる。 当該年度においては、大環状化と特定の立体構造形成の両方を誘起できる人工残基(cyclization- and secondary structure-inducing residue, CSIR)を新たに種々設計し、これらを化学合成で調製した。そして、人工翻訳系を活用した遺伝暗号のリプログラミング法により、合計で8種類の翻訳導入実験を実施した。その結果、うち6種類のCSIRについて良好な翻訳導入効率を確認(残り2種についても効率は悪いながら翻訳導入には成功した)した。さらに、これら6種の二次構造誘起骨格を含んだ人工環状ペプチドの翻訳合成も達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、順調に複数のCSIRの設計と合成を完了し、一部のCSIRについてはこれを含んだモデル人工環状ペプチドの翻訳合成にも成功しており、特定の二次構造をもつようにデザインされた生物活性ペプチド中分子の大規模ライブラリー構築の基盤が構築できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で翻訳導入を完了したCSIRを有する環状中分子ペプチドライブラリーを構築する。さらに本ライブラリーの試験管内選択システムを確立することで、生物活性人工ペプチド中分子の開発にも着手する。
|