2018 Fiscal Year Annual Research Report
超高効率なマイクロフロー亜リン酸ジエステル形成法開発と中分子核酸合成への展開
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
18H04392
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
布施 新一郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00505844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロフロー / 核酸 / 中分子 / 三塩化リン / 亜リン酸ジエステル |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸医薬品は、抗体医薬品と低分子医薬品の双方の長所を併せもつため夢の次世代医薬品として脚光を浴びている。その一般的合成法(ホスホロアミダイト法)は高価な試薬や基質を要する。ホスホロアミダイト法の開発以来35年以上の間、世界中の研究者が新合成法開発に挑んできたが問題は未解決のままである。本申請では、マイクロフロー法を駆使してこの難題の解決に挑む。三塩化リンはリンと塩素から合成され、ほとんどのリン化合物の源となっている最も高活性・安価・単純な構造の化合物であるが、反応性の制御が困難なため核酸合成分野では実用性がないと見なされてきた。本申請では、この三塩化リンに焦点をあて、マイクロフロー法による反応性の制御を基盤とする亜リン酸ジエステル形成法の開発とこれを用いる中分子オリゴ核酸合成への展開を図る。 H30年度は当初チミジンと三塩化リンと水の反応の検討から開始する予定であったが、反応成績の評価が予想以上に困難であったため、脂肪族の1級アルコールと2級アルコールをチミジンの代わりとして用いて三塩化リンに対する求核置換反応の選択性を評価した。その結果、マイクロフロー法の得意とする高速混合技術を用いることにより高選択的に目的物が得られることを確認した。良好な反応成績(選択性)を得るためには溶媒や温度の選択が極めて重要であること、確立した条件を旧来のバッチ条件で行うと、ほとんど選択性が観察されないことも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は当初計画していたチミジンでの反応検討ではなくなったものの、モデル基質を用いることにより当初期待していたとおりの高い選択性を得ることに成功し、しかもこの選択性はマイクロフロー法を用いなくては得られないものであることも実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル基質を用いた検討では、期待した選択性で目的のリン酸ジエステルを得ることに成功したので、今後当初使用予定であったチミジンを用いる検討を行う。なおこの際に二段階目の反応(2級アルコールの求核置換反応)が焦点となる。P(OR)Cl2を合成して、これを用いる選択的な2級アルコール導入条件の確立を行い、その後、PCl3を用いてリン酸ジエステルを合成する検討へつなげる。
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Research Products
(10 results)