2018 Fiscal Year Annual Research Report
生物機能中分子の細胞導入の分子基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
18H04403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中分子 / ステープルドペプチド / 細胞膜透過 / エンドサイトーシス / 細胞内送達 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ペプチドや核酸を基盤とする中分子が次世代医薬品の候補として熱い視線を集めている。研究代表者は、細胞内輸送小胞(エンドソーム)に保持された抗体を効果的に細胞質に放出可能とする「エンドソーム不安定化ペプチド(L17E)」を創出した。本研究では、種々のL17Eの誘導体の合成を通じて活性向上を目指すとともに、生物機能中分子の細胞内送達に適用し、その有用性を確認する。一方、分子内架橋によりヘリックス構造を規制したステープルドペプチドが中分子医薬品のプロトタイプとして注目されている。研究代表者は、ステープルドペプチドの細胞内移行は主に分子全体の疎水性に負うこと、細胞内移行にはエンドサイトーシスが大きく関与することを確認している。本研究では、細胞内移行性の低いステープルドペプチドを細胞内に導入する新しいアプローチに関しても検討する。本年度は、(i) マクロピノサイトーシスに伴う膜の波打現象に乗じてL17Eにがバイオ高分子の細胞内送達を可能にすること、(ii) DPA-Ni錯体を利用した効率的な細胞内送達が可能であることなどを見出した。また、細胞内移行性の低いステープルドペプチドを細胞内に導入する新しいアプローチに関して検討を行った。特に(i)に関しては、これまでに指摘されることのなかった生理活性中分子の細胞内送達における新しい概念をもたらす経路であり、今後検討を進め、その一般性を確認したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としている (I) 新規エンドソーム不安定化ペプチドL17E誘導体を用いた細胞内中分子送達 (II) 構造規制ヘリックスペプチドの細胞透過促進指針の樹立 に向けて研究はほぼ予定通り進んでおり、成果を3編の論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「生物機能中分子の細胞導入の分子基盤」の創出を念頭に、(I) 新規エンドソーム不安定化ペプチドL17E誘導体を用いた細胞内中分子送達を目指し、L17Eの塩基性、疎水性、ヘリックス性等に検討を加え、L17Eを越えるエンドソーム不安定化ペプチドの創出を図る。班員との共同研究も含め、物性・機能の異なる種々の中分子に適した細胞内送達のための投与法を検討する。また、(II) 構造規制ヘリックスペプチドの細胞透過促進指針の樹立を目指し、in vitroではタンパク質―タンパク質相互作用(PPI)阻害活性を有するが、細胞内移行性が低いため細胞での活性が得られないステープルドペプチドをモデルに膜透過性を付与することを試みる。また、ステープルドペプチドとL17Eのハイブリッド化が可能かに関して検討する。これらを通して、ステープルドペプチドに細胞透過性を付与する新しい方法論を樹立する。
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Research Products
(10 results)